「子育てが楽しくなる小さなヒント」⑬ 妊娠と子どもの受験が健康を意識するタイミング!?
学研キッズネット編集部と、元保育園園長で現在「花まる子育てカレッジ」のディレクターである井坂敦子さんがタッグを組んで、月・水・金の朝6時に配信している、音声プラットフォーム『Voicy』の番組「コソダテ・ラジオ」。月曜日配信のトークテーマ「子育てが楽しくなる小さなヒント」の内容を、いつでもお読みいただけるように記事化しています。さて、今回は「健康」に関するお話です。
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妊娠は“健康”を見直す一番のきっかけ
今回は、「健康」について話をしたいと思います。
皆さんも一緒かもしれませんが、私が一番健康を意識したのは妊娠したときです。私の場合は不規則な仕事をしていたので、ストレス発散で暴飲暴食をしたり、遅い時間まで仕事をして寝不足になったりと、自分の健康状態に不安を抱いていました。
せっかく授かった命が、ちゃんと育ってくれるのか、無事に産まれてきてくれるのか、とても心配になりました。
検診に行く度に「もう少し鉄分を摂ってくださいね」などと栄養指導を受けて、それまでの人生でこんなに自分の体のことを考えたことはないというくらい、自分の体や食べるもの、睡眠、生活リズムなどについて真剣に考えて整えた10か月でした。
生まれたあとはほぼワンオペ育児。子どもと一対一で、夜中に起きてオムツを替えたり、授乳をしたり、24時間体制で子育てをしていたので、「もし自分の具合が悪くなったら、この小さな命はどうなってしまうんだろう」と切羽詰まった心境になり、自分も健康でいなくてはいけないと強く意識しました。
母乳育児だったので、自分の体から出てきたものを子どもに与えるということで、食べ物にもことさら気をつけていました。
「せいろ」が自分と子どもを救ってくれた
母乳育児をされた方は経験があると思うのですが、本当にお腹が空くんですよね。食べても食べてもお腹が空く……。でも、体に良いもの、バランスが良いものを食べたいけれど、出産と育児で疲れていて、料理をするのはしんどい。
そこで私は、せいろ(蒸し器)を使って、野菜やお肉、肉まん、おこわや赤飯などを夫に買ってきてもらい、蒸して食べていました。
さつまいもやじゃがいも、とうもろこしなども洗って入れておけば、蒸されていつでも食べられます。そんなふうにして、子どもが生まれてから1年近く、常にせいろを火にかけてすぐに食べられるようにしていました。
掃除などの家事も最低限にして、自分の健康やパワーを温存し、とにかく子どもの世話にエネルギーを回すようにしていましたね。
小学校受験では心の健康が心配に・・・
その次に健康を意識したのは、子どもの受験のときです。
「小学校受験にチャレンジする」と決めたのですが、その試験日が11月。風邪が流行り始める時期です。風邪を引いてしまうのも困りますが、同じぐらい心配だったのが自分と子どもの「心」です。
押しつぶされそうな不安。「チャンレンジしてもダメなのでは」という心配。受験までの1年くらい、まるでジェットコースターに乗っているようなアップダウンを感じていました。
受験をやめようか迷ったり、自分の心の置き所に悩む日々。でも、子どもにはなるべく笑顔で接して、イライラして叱り飛ばしたりしないようにしたい。そんなときにとても意識していたのが、「心の健康」です。
では、どうしたら子どもに笑顔で接したり、自分や子どもの心の健康を維持できるかなと考えたときに、とにかく「自分の機嫌をとる」、「子どもの機嫌をとる」ということを意識しました。
「子どもの機嫌をとる」というのは、「楽しいな」や「面白いな」、「これ美味しいね」など、小さい楽しいや美味しいを散りばめるようにすること。
そうすることで、切羽詰まったり、キュッと胸が痛くなるような状態から、少し距離が取れたかなと思います。
親のストレスは子どもに現れる!?
こうしたストレスが続くと、体にも影響が出てしまいます。
小学校受験の準備をする幼児教室で講師をしていたときのこと。親御さんがストレスを抱えていると、お子さんにもそれが伝わり、トイレが近くなったり、朝になるとお腹が痛くなったりと、不安やストレスが体に出るようなことがありました。
子どもは、親御さんの不安な気持ち、心配な様子に連動してそうなってしまうので、親御さんが自分自身の気持ちを少しゆるめたり、「なんとかなるか」と大きな気持ちで構えることが大事な気がします。
たとえ受験が残念な結果だったとしても、「頑張ったこと」はなくなりません。「ちゃんと身についたものがある、大丈夫」と、少し広い視野を持ってみる。
あるいは、自分の不安を吐き出せる場所、聞いてくれる人を見つけておく。味方になってくれる方が近くにいるといいように思います。
私の場合、幸いにも自分の親が小学校受験に反対でも賛成でもない中立の立場を貫いてくれたので、愚痴なども言いやすく助かりました。
「大変なこともあるけど、チャレンジしたいんだよね?」と、元々のスタートの気持ちに引き戻すような言葉を言ってくれたり、模擬試験の点数が悪くても、「そもそもこの年齢でがんばっているだけですごいんだよ」と、距離を置いて、余裕のある対応してくれたので大変助かりました。
一緒になって、「これじゃダメよね。こんな点数じゃもうやめたほうがいいんじゃない?」なんて言われたら本当に苦しかったと思います。
体と心は“自転車の両輪”
体の健康は食べ物や生活習慣によるところが大きいと思いますが、心の健康と本当に密接だなと感じています。
良い食事、良い生活習慣を続けていると、心も整ってきて元気でいられます。
散歩をしたり、深呼吸をしたり、好きな音楽を聴いたり、ちょっとした自分へのご褒美のおやつを食べたり……。そんなことで心を満たすと、体も健康になり、体が健康になってくると心も強くなる。自転車の両輪みたいなところがあるように思います。
私の場合、「健康を意識する」のは、子育て中の色々なことに対して常に前向きにいるためなので、自分や子ども、夫に対して、「ちょっと甘くする」ということをしています。
あまり厳しく理想的なことを追求するのではなく、「まあいいか」や「今日はちょっと頑張ったからここで休憩しよう」というように、息抜きを少しずつ入れる。そうして自分自身が機嫌よく過ごすことで、健康を維持できるのではないでしょうか。
話し手/井坂敦子 構成/清野 直
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▼井坂敦子 プロフィール
慶應義塾大学→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営 英国留学中高校生女子とボーダーコリー3頭の母
中学校高等学校教諭一種免許状(国語) 保育士 食育カウンセラー 表千家師範
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