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Case 45 テレビとスマホ、ふたつのお茶の間/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

Case 45 テレビとスマホ、ふたつのお茶の間/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

テレビを見ながら、ずっとスマホをいじっているユカ。もはやテレビはSNSを楽しむためのダシかもしれません。

ユカのテレビの楽しみかた

クリスマスからお正月にかけては、娘のユカが大好きなアイドルの出る歌番組や大ヒット映画の放送があり、ユカはいつもより長くテレビを見ていました。そこで気になったのが、ユカがテレビ中もスマホを手放さないこと。

いままではおなじスマホ片手でも、ゲームや友だちとのLINEなどテレビと無関係に使っていることが多かったのですが、この年末年始は、見ている番組をSNSでチェックしている姿がとても目立ちました。

なかでも映画のときは、終始スマホをいじりっぱなしでした。横から見ていると、テレビの音だけ聞いてスマホに集中しているようにさえ見えましたが、ユカはTwitterで映画の感想をチェックするのにいそがしかったのです。ユカはその映画を鑑賞することより、リアルタイムでワイワイ感想を共有することを楽しむためにテレビを見ていたのかもしれません。

お茶の間がふたつある

歌番組も映画もバラエティも、ユカはTwitterのハッシュタグ(同じ話題のツイートを探しやすくするために#をつけた言葉)でその番組のツイートを検索したり自分でもツイートして、「いま歌をまちがえた」「あの衣装はすごい」などと盛り上がっていました。

わたしの時代は、面白い番組を見たら次の日学校で話題にしましたが、ユカはスマホで友だちとリアルタイムに盛り上がっています。友だちとだけではありません。そのテレビを見ている知らない人たちとも、ハッシュタグ経由でつながって楽しんでいます。

テレビの視聴者をあらわす「お茶の間」という言葉がありますが、番組をいっしょに見てワイワイするお茶の間は、いまやネットの世界に広大に広がっています。わが家のお茶の間にいるユカは、同時にネットのお茶の間でも楽しんでいるのです。

このふたつ目のお茶の間は、公共の場所なのでしょうか、プライベートなくつろぎの場所なのでしょうか? もちろん、ネットは公共の場所なので、発言にはそれなりに注意が必要です。残念ながら、プライベート気分のお粗末なつぶやきで炎上する人はあとを絶ちません。

広がっていく二重の世界

ところで、このコーナーでは、食事どきのケータイ・スマホを許すかという話題をとりあげたことがあります。大人はその場にいない相手とのやり取りは失礼だと感じ、子どもたちは、通話は失礼だがメールを見たりちょっと返信したりするくらいなら問題ない、と感じているギャップが新鮮でした。

食卓と違い、テレビ中のケータイ・スマホはさほど問題にされません。子どもがスマホをいじりながらテレビを見ても、「テレビを見ているときに失礼だ」と怒る大人は多くないでしょう。このようにスマホ片手でもとがめられないところでは、子どもたちには目の前の世界とネット(SNS)の世界が二重に存在するようになってきているように思えます。

たとえば電車内でスマホを使っているのはもう日常ですし、ユカと友だちのランチのテーブルにはスマホが出たままで、友だちともしゃべり、LINEやTwitterの更新情報もチェックしています。

スマホが生活に欠かせなくなるにつれ、ますますこの傾向は進むでしょう。むしろ、2つの世界を並行して処理できないと、スムーズに社会生活ができなくなってしまうかもしれません。「ながら作業」はいけないことだとしかられてきた世代の人間は、頭の使いかたの切りかえに苦労しそうです。

「ほらママ、テレビだけ見てちゃダメでしょ!」

なんてユカに怒られる前に、スマホ片手にテレビを見るクセをつけるべきか、新年早々悩んでしまった2018年です。

※以前は心臓ペースメーカーの誤作動の恐れなどから電車ではケータイの電源OFFがマナーでしたが、2015年に総務省からその可能性は低いと発表され、電車内のケータイ・スマホの使用は認められています。

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マリ(まり)

マリ(まり)

マリ(まり)

サラリーマンの夫・大学生の娘(ユカ)との3人暮らし。
大学の恩師の「あなたは一生文章を書きつづけなさい」という言葉を真に受けて、今も日々ものを書いている。
現在はIT系の会社で、セミナー関連の仕事に携わっている。
趣味は映画鑑賞。年に100本みることがひそかな目標。

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