自分のことは自分で解決する~考える力をやしなう声かけ~/くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て【第6回】
子どもを突き放すのでもなく、子どもの課題を親が肩代わりするのでもなく、子どもが自ら考えて行動できるような声かけをして見守ることが大切ですね。こうした保護者の日々の心がけで「自分で考える子・自分で行動できる子」が育っていきます。
夏休みの宿題
長かった夏休みも終わり、ホッとされている保護者の方も多いのではないかと思います。お子さんとの夏休みをどのように過ごしたでしょうか? お子さんは、夏休みの宿題を無事提出できたでしょうか?
夏休みも終わりに近づくと、親として気になるのが「夏休みの宿題」。まだ終わっていないのにのんびり過ごしているわが子にやきもきするようなことはありませんでしたか?
「早くやりなさい!」は逆効果!?
まだ宿題を終わらせていないのにもかかわらず、のんびりと構えているわが子に、イライラしたり、ついカッとなってしまうことって、よくあると思います。
わたし自身、子どもたちが小学生のころ、絵を描くことが苦手なわが子たちが、「絵が描けない! 提出日に間に合わない!」と言って、夏休み最終日に泣きながら描いていたことを思い出します。
そもそも、絵を描くことが嫌いな子たちがいい加減な気持ちで描いているので、良い作品ができるわけがありません。わたしはつい口出しをしてしまい、親子で口論にもなりました。
でも、アドラー心理学では「親が必要以上に子どもの課題に介入すること」に否定的です。子どもの自立を促すためには、保護者の過保護や過干渉は、貴重な体験の場を奪ってしまうからです。
そうは言っても、子どもはなかなか自分から動いてはくれないもの。だから、「良いことではない」と頭ではわかっていても、つい口や手を出してしまうんですよね。
では、どのようにすれば、自ら動くことのできる子になるのでしょうか。
それはズバリ! 自分で考えることのできる子に育てることです。
自分で自分のことを考えられるようにするために
自分のするべきことを、自分の頭で考え行動できるように補佐していくのが、わたしたち保護者の役目です。そして、それは子どもが物心つくころ、あるいはそれ以前からできることでもあるんです。
もちろん今からだって遅くはありません。
親の問いかけで、考える力がつく
それは、難しいことではありません。日頃の会話の中で、ちょっと声かけのしかたを意識するだけなのです。
「ああしなさい、こうしなさい。」と命令するのではなく、「どうしたいの?」「どうすればいいかな?」「どうやったらできると思う?」というように問いかけてみましょう。
例えば、「宿題が間に合わない」と慌てている子どもに、「だから前から言ってたじゃない! どうして今までのんびりしていたの! 自業自得よ!」なんて言っては、本人はますますやる気を失い、自暴自棄になってしまいますね。
そうではなく、「そう! それは大変ね!」と、まずは共感し、「どうしたらできると思う?」「どうやって間に合わせようか?」「お母さんに何かできることはある? 手伝えそうなことがあったら言ってね。」というように、声をかけてみてほしいのです。
夏休みの宿題に限らず、日頃の勉強についても、全く同じことが言えます。
子どもを突き放すのでもなく、子どもの課題を親が肩代わりするのでもなく、子どもが自ら考えて行動できるような声かけをして見守ることが大切なんですね。
こうした保護者の日々の心がけで「自分で考える子・自分で行動できる子」が育っていきます。子どもたちは幼くても、十分に考える力を持っています。
もちろん声かけをしてすぐに目立った効果が出るわけではなく、長い時間がかかるかもしれませんが、自分で考え、行動し、問題を解決できる子どもに育っていくことを願って、根気よく取り組みましょう。
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