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子どもの「自信」と「やる気」を育てる「勇気づけの子育て」/くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て【第7回】

子どもの「自信」と「やる気」を育てる「勇気づけの子育て」/くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て【第7回】

多くの保護者の方から、子育てについての相談を受けることも多いのですが、その中で最も多い質問が「子どもを伸ばすために、親はどうすれば良いのですか?」というものです。

子どもを伸ばしたいと思う親心

三人の子どもたちも成長し、そろそろ、わたしの子育て期も終わりが見えてきました。それに伴い、多くの保護者の方から、子育てについての相談を受けることも多くなってきています。その中で最も多い質問が「子どもを伸ばすために、親はどうすれば良いのですか?」というものです。

わが子が生涯幸せに暮らせるよう、子どもの力を伸ばしてあげたいと、どんな親も願うもの。そのために、親としてできることは精一杯したいと思いますよね。

早期教育もお受験も、子どもを思ってのこと。決してそれに反対するわけではありませんが、ここで少し考えてほしいことがあります。これからの時代、わたしたちが目指さなければならない子育てとは、どんなものなのでしょうか。

子どもが学校で良い成績を取ることでしょうか。それとも有名進学校に入ることでしょうか。あるいは親の言うことを素直に聞く子どもに育てることでしょうか。

いいえ、その前にもっと大切なことがあるのです。

どんな時代でも通用する本当の力とは

もちろん、勉強は大切です。でも、学校で良い成績を取れたら、良い人生になるのでしょうか? 有名進学校に入学したら、それで安泰なのでしょうか? 素直に親の言うことを聞いたら良い子なのでしょうか? これらのことを自問自答してみてください。

これからの時代、わたしたちの子育てで大切なのは、「自分に自信をもつ子」、「自分のことを好きになる子」に育てることなのではないかとわたしは思っています。

どんなにいい学校に行ったとしても、どんなにいい会社に勤めたとしても、困難なことは必ず訪れます。そんな時には、

「少しぐらい失敗しても、うまくいかないことがあっても、またやり直せば大丈夫。自分にも良いところはたくさんある。あきらめずに何度もチャレンジしてみよう。」

という強い心をもって困難に立ち向かわなければなりません。そんな強くたくましい心をもつことができたなら、どんな時代がやってきても、恐れることはありません。

アドラー流勇気づけの子育てで、自信とやる気を育てる

アドラー心理学は別名「勇気づけの心理学」とも言われています。アドラーを学ぶわたしたちは、困難を乗り越える力を与えることを「勇気づけ」と呼び、それをとても大切に考えています。

「どうせ自分にはできない」

「どうしてこんなに自分はダメなんだろう」

「自分には、才能がないから無理無理!」

こんな子どもたちの声を聞くと、わたしはとても悲しい気持ちになります。どんな子にも力はあります。それなのに、自分自身で限界を決め、本来の力を発揮できずにいる子どもがいることを心から残念に思うのです。

やる気は自信から生まれる

物事にチャレンジしよう、頑張って取り組んでみようというような「やる気」を育てるために、わたしたち親ができることってなんでしょうか?

それはまず、子どもを心から信じること。
その上で『ダメ出し』をしないことです。
(『ダメ出し』とは、欠点・弱点などを指摘すること)

できないことや、できていないことに目を向けるのではなく、できたこと、できていることに注目するのです。そして、できていて当たり前と思うようなことでも感謝の気持ちを伝えます。

「いつも、元気でいてくれてありがとう!」

「今日もいっぱいご飯を食べてくれたから、お母さんも作ったかいがあるわ。」

「今日は自分から進んでお手伝いしてくれたね。○○ちゃんが手伝ってくれて、お母さんもとってもうれしかった。」

このように声をかけられたら、うれしくならない子はいないのではないかと思います。

「わたし(ぼく)は、これでいいんだ」「お母さん、お父さんが喜んでくれてうれしい」という自信や貢献感が、やる気につながっていくのです。

あなたも今日から、「ダメ出し」をやめ、子どもも自分もうれしくなる「勇気づけの子育て」を始めてみませんか?  お母さん、お父さんの日々の心がけや態度で、子どもが勇気をもって、様々なことにチャレンジし、もっている力を存分に発揮できるようになることでしょう。

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松井美香(まついみか)

松井美香(まついみか)

松井美香(まついみか)

東京音楽大学ピアノ専攻卒業。「勇気づけの音楽家」。大学卒業後約10年間公立中学校に勤務。その頃偶然、教員研修でアドラー心理学に出会い、岩井俊憲氏の元で学び約25年が経過。自身のピアノ教室や子育てにおいてアドラー心理学を実践する中、子どもたちが音楽や部活動を続けながらも有名大学に続々と合格し夢を叶えている。長男(21歳)と双子(18歳)三人の男子の母。現在、保護者や音楽指導者に向け、執筆やセミナーを通して「勇気づけの指導法」を広める活動をしている。

*学研「おんがく通信」にて、コラム「勇気づけのピアノレッスン」連載中

*学研プラス出版「あなたの想いが届く愛のピアノレッスン」にて、手記「ある教室のささやかなサクセスストーリー」を執筆

松井美香公式ホームページ:

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