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中学生、コミュニケーション はスマホで/データで読み解く、子どもとスマホ【第2回】

中学生、コミュニケーション はスマホで/データで読み解く、子どもとスマホ【第2回】

今どきの子どもたちは、いったいどんなふうにスマホを使っているの? データを読み解いて、子どものスマホ利用の実態にせまります。

小中学生、ネット機器全体ではゲーム・動画視聴が利用内容のツートップ

10歳から17歳までの子どもたちがどのようにインターネットを使っているのかを調べているのが、内閣府の「青少年のインターネット利用環境実態調査」※1です。この調査から、まずは、ネット接続機器全般※2で利用の内容をみてみましょう。

ネット接続機器全体での利用内容

小学生

1位 ゲーム (75.1%)
2位 動画視聴 (56.8%)
3位 情報検索 (42.5%)

 

中学生

1位 ゲーム (71.1%)
2位 動画視聴 (70.5%)
3位 コミュニケーション (62.9%)
 

小学中学生とも、ネット利用内容の1位はゲーム、2位は動画視聴です。

1位のゲームは、20年前、子ども向けサイトのはじまりの時代から不動の人気コンテンツです。とくに小学生では2位の動画視聴に18ポイント以上の差を付け、ダントツの1位となっています。

2位の動画視聴は、平成24年調査から結果にあらわれてきた比較的新顔のサービスです。ゲーム実況、YouTuberなどと呼ばれる実況者の実演、アーティストの公式MVなどの動画が人気を集めています。

3位になると小学生と中学生で順位に違いが出てきます。小学生3位は情報検索、中学生3位はコミュニケーションです。中学生の子どもたちが「つながり」を指向していることがわかりますね。

中学生のスマホ、利用内容1位は「コミュニケーション」

さて、この調査、スマホでのネット利用に限定すると、ネット機器全体での順位と様子が異なってきます。※3

スマホでの利用内容

小学生

1位 ゲーム (72.9%)
2位 動画視聴 (53.5%)
3位 コミュニケーション (43.9%)

 

中学生

1位 コミュニケーション (80.3%)
2位 ゲーム (73.2%)
3位 動画視聴 (71.2%)
 

スマホにおいては、コミュニケーションサービスの利用指向が強いことが明確にあらわれていますね。とくに中学生では、2位のゲームに7ポイントの差を付け、コミュニケーション利用が1位となっています。

スマホは他のネット機器より個人の持ち物としての性格が強いので、プライバシーとセットであるコミュニケーションをスマホで行うのは、ある意味合理的な行動といえます。

それでも、スマホを使っている中学生の8割はコミュニケーションに利用している、という調査結果に驚かれた保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ゲーム・動画視聴にも「コミュニケーション」はある

さて、ここで保護者として注意しておきたいことがあります。それは、ゲームや動画視聴に夢中になっている子どもたちもまた、コミュニケーションと無縁ではないということです。

ゲームには掲示板機能があるものがあり、ユーザーどうしのコミュニケーションができます。
例えば、任天堂のゲーム機Wii Uには「Miiverse」というネットワークサービス機能があり、世界中の人たちとMii(ゲーム内での自分のアバター)を通じてつながることができます(Miiverseの利用はペアレンタルコントロール機能で制限できます)。ゲームごとにコミュニティがあり、子どもたちに人気のスプラトゥーンやスーパーマリオメーカーなどのゲームは、連日投稿でにぎわっています。

動画視聴では、コメントがコミュニケーション機能を果たしています。YouTubeなどの動画投稿サイトでは投稿主とのやりとりもできるので、投稿主に動画制作のリクエストをしたり、自分の紹介したゲームをプレイしてもらったりというつながりが生まれています。

ゲームで遊んでいるだけ、動画をみているだけ…と思っていた子どもが、こういったコミュニティでよからぬ大人とつながっていたり、掲示板で個人情報を書きこんでいたら? 想像しただけで不安になってしまいますね。

ゲームだから、動画だからという思い込みにとらわれず、子どもがいま何をしているのか、ありのままをみて、トラブルに巻き込まれないような心配りを忘れないようにしたいものです。
 

※1
平成27年度 青少年のインターネット利用環境実態調査【概要】(内閣府)
※2
同調査では、スマートフォン、いわゆる格安スマートフォン、機能限定スマートフォンや子供向けスマートフォン、携帯電話の契約が切れた スマートフォン、携帯電話、機能限定携帯電話や子供向け携帯電話、ノートパソコン、デスクトップパソコン、タブレット、学習用タブレット、 子供向け娯楽用タブレット、携帯音楽プレイヤー、携帯ゲーム機、据置型ゲーム機、インターネット接続テレビの15機器について利用状況等を調査している。
※3
ここでいうスマホとは、「スマートフォン」、「いわゆる格安スマートフォン」、「子供向けスマートフォン」、「携帯電話の契約が切れたスマートフォン」のいずれかをさす

 
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 渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

 渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。

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