子どもを不安におとしいれる「チェーンメール」/データで読み解く、子どもとスマホ【第20回】
スマホの操作にたけていても、コミュニケーション技術や心には年齢相応の未熟さが残る子どもたちは、大人が見落としてしまうようなことにつまずいてしまうことも。代表的な例は、大人にとっては昔懐かしい印象さえあるチェーンメールです。
一見いい話ふうだけれど……
スマホの操作にたけていても、コミュニケーション技術や心には年齢相応の未熟さが残る子どもたちは、大人が見落としてしまうようなことにつまずいてしまうことも。
代表的な例をひとつあげましょう。それは、大人にとっては昔懐かしい印象さえあるチェーンメールです。
保護者世代が子どものころはまだ電子メールが普及していませんでしたから、郵便はがきで出回ったものですが、いまも「不幸の手紙」は「チェーンメール(チェンメ)」へとかたちを変えてしぶとく残っています。
一般財団法人日本データ通信協会が運営する「迷惑メール相談センター」がチェーンメールの分類を掲載しているので、抜粋して紹介します。※1
チェーンメールの分類
- 幸福・不幸(の手紙)系
転送しないと不幸になる、あるいは幸福になるというもの。 - 宣伝系
不幸の手紙をベースにしたものに、広告宣伝のためのURLを含むもの。 - 募集系
募金や献血のお願い、ペットの飼い主探しなどの善意の内容や、テレビ番組の実験でチェーンメールを転送しているなど、受信者の良心を逆手にとって転送させようとするもの。 - ひぼう中傷(嫌がらせ)系
個人的な悪意やいたずらで、ある人物や団体、事業者などを中傷するために転送させようとするもの。 - その他
電話番号やウイルス情報などチェーンメールとして気づきにくいもの。
一般財団法人日本データ通信協会
迷惑メール相談センター「撃退! チェーンメール」より※2
脅迫的な内容のもの、個人への嫌がらせなどは本当に不愉快ですが、タチが悪いのは、読む人の善意にうったえかけるような内容のものです。
受験合格のお守りとかペットの命を救えるというような内容で、読む人の良心を利用して転送をうながしてくるのです。社会的な経験の少ない子どもたちが、善意で積極的に転送してしまうのもうなずけます。
SNS時代にも生き残るチェーンメール
さて、若年層のコミュニケーション手段の主流はいまやSNS。はがきからからメールに変化して生き残ったこのチェーンメール、もちろんSNSにも対応しています。
SNSでのチェーンメールにもいくつかのパターンがあります。
まず、SNSのメッセージでチェーンメールと同様の内容のものが送られてくるもの。SNSでは、より距離感の近い友だちがメッセージを送ってくるので、うっかり反応してしまう子どももいるというわけです。
SNSでやりとりされる「バトン」にも要注意です。
バトンというのは、定型の質問に回答し、それを次の人へと回していくネットでの遊びです。TwitterやLINEのタイムラインで子どもたちが楽しんでいるのをよくみかけます。
転送をうながし、なにかしらの行動を強制させるという観点でみると、これもチェーンメールの進化形といえます。
ほとんどは悪意のない友だちどうしの遊びですが、なかには名前、年齢、学校、塾などを書き込む自己紹介のバトンもあります。友だちの間だけで回したつもりが、公開範囲によっては友だち登録した人全員に見えてしまうこともありますから注意が必要です。
無視が一番。それでもこわかったら……
これら、チェーンメールへの対策はシンプルです。
受信しても無視して、自分では回さないことです。拡散した時点で自分も「騒ぎを起こした側」ですから、とにかく無視・スルーが一番です。
しかし、心がまだ未成熟な子どもが、命の危機があるかのような脅し文句を見て不安に感じるのは当然といえます。そんな子どものために、迷惑メール相談センターではメールの捨て場所となるメールアドレスを用意しています。
チェーンメール転送先一覧はこちらです。※3
「P5 チェーンメールの転送先」
うちの子は大丈夫と思っていても、お子さんに教えてあげてください。
※1
一般財団法人日本データ通信協会運営する迷惑メール相談センターでは、総務省より委託を受けて迷惑メールに関する相談や情報を受け付けている。
「迷惑メール相談センター」
※2
迷惑メール相談センター「撃退! チェーンメール」
「撃退! チェーンメール」
※3
迷惑メール相談センター「撃退! チェーンメール」
P5 チェーンメールの転送先
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