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フリマアプリの独自ルール/データで読み解く、子どもとスマホ【第26回】

フリマアプリで横行する「独自ルール」。モノの売り買いの基本マナーは守れているのでしょうか。

フリマアプリでよく目にする「独自ルール」って?

いらなくなった品物をネットで売ることができるフリマアプリ。若い世代で利用がひろがっており、お小遣いかせぎのために利用する高校生も増えています。

フリマアプリで出品されているものを見ていくと、一種独特な風習があることがわかります。フリマアプリのいわゆる「独自ルール」です。独自ルールとは、ひとことで言えば、売り主都合によるマイルール。売り主が勝手に決めた商取引ルールを買い主に強要する行為です。

独自ルールは禁止禁止のオンパレード

フリマアプリ独特の、ユーザによる独自ルール。具体的にはどんなものがあるでしょうか。

代表的なものを2つ紹介します。

・即購入禁止
フリマアプリでは、出品されているモノの購入ボタンをタップすればだれでも即購入できます。これを禁止し、商品のコメント欄になにか入力してからの購入を強要する独自ルールです。

・いいね! 不要
出品されているモノの「いいね!」ボタンをタップするのを禁止する独自ルールです。

2つとも、取引の場で公平に買い主に担保されている機能を、売り主から一方的に「使うな」と押しつけています。これらの独自ルールを守らなかった買い主に対して、売り主が一方的に取引をキャンセルしたり、低い評価をつけたりすることがあるようです。

メルカリなどのフリマ運営会社では、これら独自ルールについて明確に禁止しています。※1

しかし、これらの独自ルールはあとを絶たず、プロフィール必読、合い言葉必須、クレーム・返品・キャンセルを禁じる3Nなど、さまざまなものが見受けられます。フリマシステムの不備に対して自衛する意味もあるのですが、ほとんどのものは売り手の都合を買い手に押しつける内容です。

10代、はじめての商取引はぜひ対面で

でも考えてほしいのです。

実際の店舗で、リアルなフリーマーケットで、独自ルールを振りかざす店からモノを買いたいと思いますか?

買う前に買っていいかたずねろ、買う気がないなら手に取るな、買うならば合い言葉を言え、クレーム・返品・やっぱりやめましたは禁止!……そんなお店、こちらからお断り。気持ち良いお買い物ができないからです。

でも、10代の子どもで、自分でモノを売ったことがある子はあまり多くないでしょう。

そしてコンビニ・文具店・雑貨店などで物言わぬ買い主としての経験しかなかったら、売り主と買い主の「気持ちの良いお取引(メルカリ詳細ガイド ルールとマナーより)」※2とはどんなものなのか、実感する機会はあまりありません。

そして、大人の独自ルールを見て、それが「普通」なんだろうと真似をします。それは結果として、モノの売り買いは売り主と買い主が呼吸を合わせて行なうものだ、ということを学ぶ機会を遠ざけてしまいます。とても残念なことです。

ネットの時代に逆行するようですが、わたしは、幼児のお店屋さんごっこと、高校生のフリマ販売の間に、ぜひ「対面でリアルにモノを売る」体験をはさんで欲しいと思うのです。

地域で開催される(リアルな)フリマやイベントの手伝い、地域や学校のバザー、町内会などでの催しなど、子どもが「対面でリアルにモノを売る」機会があったら、ぜひお子さんを参加させてあげてください。

さまざまなお客様からお金をいただき、モノとお金を交換し、ときに注意されたり、ときにお礼を言われたりする生の体験は、きっと子どもたちを「よい売り主・よい買い主」となる気づきに導いてくれるでしょう。

そして、お金を稼ぐことはそれなりにストレスフルで、責任がともなうことにも気づくでしょう。フリマアプリで不要品販売のデビューをするのはそのあとでも遅くありません。

※1
メルカリ よくある質問と答え 取引全般に関する質問
※2
メルカリ 詳細ガイド ルールとマナー

 
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渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。

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