夏の旬の野菜が多く出回って、サラダなどがとてもおいしい季節ですね。しかし、暑さのために野菜が日持ちしないので、生のままおいしく食べるにはその正しい保存方法がカギとなります。どうすれば野菜をより長く保つことができ、おいしく食べられるのかを調べる実験です。
用意 するもの
- キュウリ
- レタス
- カイワレ
大根 - パセリ
- ホウレンソウ
- ポリ
袋 温度計 食品 用 ラップ新聞紙 氷 - ボール
実験 を始 める前 に
野菜の状態を比較するためには、鮮度が同じくらいの野菜を使わなければ正確な結果が得られません。見た感じや触った感じを確かめて、できるだけ鮮度が同じくらいの野菜を用いましょう。また、同じ株のものを使ったり、1つの個体をいくつかに切って使用するとよいでしょう。
実験 のやり方
レタスは、食べる前にちぎって水につけておいたりしますね。レタスをパリッとした状態にするには、つけておく水の温度を何度くらいにするのが一番適当か、実験します。
[実験 1]
①新鮮なレタスを3cm×3cm位の大きさにたくさんちぎって、同じような部分を3等分します。
②氷を入れて5度に保った水の入ったボウルと、30度の水の入ったボウルを1つずつ用意します。
③①で用意したレタスを3つのボウルにそれぞれ入れ、10分ごとに状態を観察します。
観察中水温が変化してしまうので、ボウルに直接氷を入れたり、ボウルを氷水で冷やしたり、また、ボウルを湯せんにするなどして、水の温度を一定に保つようにします。
ーーーどうでしたか。氷水に入れたものと、水道水に入れたものはシャキッとした感じで、あまり差はないようですね。しかし、実際に食べてみると、やはり冷たいほうがおいしく感じられますね。ではこのシャキッっとなった原因はなんでしょうか。
低温のため葉の繊維がかたくなったと考えられます。しかしそれだけでしょうか。葉の中の(細胞内)に水がしみこむことも考えられないでしょうか。そこで次のような実験をしてみます。
[実験 2]
①実験1と同じようにレタスをちぎって2つに分けます。
②一方をポリ袋に入れ、冷水(5℃くらい)につけ、もう一方は直接冷水に浸し、10分ごとに様子を観察します。
[参考 ]
実験1、2でレタスを使った実験をしましたが、レタスが実際に水を吸収しているのか、この実験からではわかりませんね。そこで、レタスの重さをあらかじめはかっておいて、水に浸した後、レタスの重さがどれくらい変化しているかはかってみるのもおもしろいでしょう。また、水温が何度くらいのときに一番吸水するかを研究してみるのもいいですね。
ーーー冷水と野菜の関係はこの位にして、次に、野菜を保存した場合、保存の仕方でいかにその鮮度が違ってくるかを調べてみましょう。
[実験 3]
①キュウリを6本用意します。
②新聞紙に包んで、さらにラップに包んだものを2本、ラップにだけ包んだものを2本、何にも包まないものを2本作ります。
③②のキュウリを各1本ずつ冷蔵庫に入れ、残りは室温(冷蔵庫に入れない)で保存します。毎日その表面の状態や、手触り(みずみずしさ、つや、イボのかたさ、曲げようとしたときのしなり具合、指で押したときのかたさなど)を観察します。
ーーー3日間くらいで、6通りのキュウリに違いがでてくるはずです。では、キュウリ以外の野菜の場合はどうでしょうか。パセリはよく水に差して保存しますが、冷蔵庫に入れたものとどちらが長持ちするでしょう。
[実験 4]
パセリが保存の仕方によって、どう鮮度が変わるかを調べます。
①パセリ(5本)の表面の水気をペーパータオルなどで十分ふき取ります。
②ポリ袋に入れたものを2本、入れないものを2本、コップに水を入れて差したものを1本用意します。
③ポリ袋に入れたものと入れないものを1本ずつ冷蔵庫に入れ、残る3本を室温で保存し、葉のみずみずしさや茎の折れ具合、しおれ方を観察します。
ーーーポリ袋に入れておく方が効果が大とわかると思います。
次に、野菜を立てておいた場合と横に寝かせておいた場合とでは、どちらの方が日持ちがいいか、カイワレ大根、ホウレンソウを使って実験してみましょう。
[実験 5]
①カイワレ大根(スポンジに付いた状態で)10本、ホウレンソウ2株を用意します。
②カイワレは5本ずつにわけ、一方を立てておいて、もう一方は横に寝かせておきます。このとき、カイワレのスポンジは常に湿らせておき、立てておいた方と横に寝かせた方とで条件が変わらないようにします。
ホウレンソウは、1株は立てておき、もう1株は横にして室内に置いておきます。
③明るい場所で観察を行い、野菜の表面や、しなび具合などを比較します。
[参考 ]
野菜は収穫してからも水分を発散させています。ですから、野菜を保存するときは、水分を発散させないように新聞紙で包んでからポリ袋にいれるなどの工夫が必要です。さらに呼吸作用を押さえるために温度の低い場所に置くか、冷蔵庫などへ入れるようにします。
また、野菜の置き方ですが、畑に生えているときと同じように立てた状態で保存したほうが老化を早めるエチレンガスが出にくく、鮮度を保てるようです。(立てた状態のほうが横に置いたものより、野菜自身が余分なエネルギーを使わないともいわれています。)
[野菜 の保存 方法 ]
要冷蔵
セロリ | |
---|---|
キュウリ | 1 (アスパラガス・サヤインゲン・ブロッコリー・カリフラワーなどもこの |
レタス | |
トマト | つぶれないように |
青ジソ |
冷蔵 不適
ネットに |
発展 研究
もっと発展した研究をしたい人は、次の実験をしてみましょう。
発展 研究 1
●野菜は包丁を使わず、手でちぎったほうがサラダがおいしいとよくいわれますが、実際はどうなのでしょうか。ドレッシングとよく混ざるためかもしれないので、セロリを用いた吸水実験をしてみましょう。
▷実験 方法
セロリの先の枝分かれしている部分を使います。葉の数や長さ、太さが同じくらいのものを、1本は手で切り、もう1本は包丁で切ります。
コップに水を少量入れ、赤インクを混ぜ、そこにセロリを差して30分後にどれくらいまで水を吸い上げたか、セロリを切って調べます。
▷実験 結果
手で切ったほうのセロリは20㎜くらいまで水を吸い上げたが、包丁で切ったほうのセロリは16㎜くらいまでしか水を吸い上げていなかった。
▷わかったこと
セロリは手で切ったほうが水をよく吸い上げる。手で切ったほうが水をよく吸い上げる理由の1つは、包丁で切った場合の断面よりも手で切った場合の断面のほうが、ギザギザしているぶん表面積が大きいのではないだろうか。
このことは、手で切ったほうがサラダドレッシングとよく混ざると考えられる。
〔参考 〕
手でちぎったほうがおいしいというのは、そのほうが野菜に金気がつかず、口に入れたときおいしく感じるということも関係あるでしょう。
発展 研究 2
最近よくでまわっている野菜の保存袋を使って、どうすれば青ジソがより長く保存できるか、その方法を研究してみましょう。
▷実験 方法
青ジソの葉をペーパータオルなどでふいて、水気を取っておきます。野菜の保存袋2枚、ポリ袋2枚に、それぞれ2枚ずつ青ジソの葉を入れ、もう2枚は何も入れないでおきます。
保存袋、ポリ袋のそれぞれ1つには空気を入れ、残り1つずつには息を吹き込んで閉じておきます。
青ジソの葉がどう変化するか毎日観察してみましょう。
▷実験 結果
何にも入れなかった青ジソは1日目で全体が黒っぽく、半分くらいの大きさになった。一方袋に入れたものだが、1日目くらいではあまり差がないが、しおれ方も空気だけを入れたものよりも少ない。1番日持ちがしたのは、保存袋に息を吹き込んだものだった。
▷わかったこと
息をポリ袋の中にふき入れることは、野菜の保存に効果があることがわかった。息をふき入れることで袋の中の二酸化炭素が増えるので、野菜の呼吸が抑えられるのではないかと考えられる。
また、保存袋はポリ袋よりも野菜の鮮度をわずかだが保てるように思った。
レポートの書 き方
ワークシートのなかの「レポートの書き方」を参考にして実験をまとめてみましょう。