牛乳は栄養分に富む食品だといわれています。バターやチーズが牛乳からつくられることもよく知られています。とすると、バターやチーズの“もと”が牛乳の中にあるということになります。また、なぜ牛乳が白く見えるのか……。不思議がいっぱいの牛乳の秘密にせまってみましょう。
準備 するもの
・牛乳1リットル・温度計・画用紙・木べら・計量カップ・酢・ジュース・食用油・スキンクリーム・ふきん・ザル・なべ・氷砂糖・小麦粉・色のついた紙
【実験 1】牛乳 は白 く見 えます。なぜ白 くみえるのか、考 えてみましょう。ものが白 く見 えるということは、どういうことなのか、実験 してみましょう。
まず、黒く見えるものを考えましょう。黒く見えるということは、白色光(太陽光)をすべて吸収しているものということにないます。だから、その反対で、白く見えるというのは、すべての光を反射しているものなのです。では、透明なものはどうかというと、これは光が通過しているものになります。この透明なものでも細かい粒にすると、無数の方向から光を反射して白く見えるのでしょうか?氷砂糖を使って調べてみましょう。(液体の実験の前に個体で光の反射などをつかんでいきましょう。)
(1)氷砂糖を2、3個かわいたふきんに包み、まないたの上にのせ、金づちでたたいて細かい粒にくだきます
(2)細かくなった氷砂糖を色のついた紙の上にのせ、くだいていない氷砂糖と色の感じを比較します
ーーー細かくなった氷砂糖は、確かに白色に見えますね。細かい粒になると、光をいろいろな方向にたくさん反射して白く見えるのです。ところで牛乳も白いわけですから、牛乳の中に光を反射する細かい粒がたくさんふくまれているのでしょうか?
ーーー牛乳は液体です。そうすると、牛乳中には光を反射する小さい粒があり、液中に浮かんでいるということになります。この考えが正しいかどうか確かめるため、この考えにしたがったモデルを作ってみましょう。氷砂糖を使うと水にとけてしまうので、今度は水にとけないものを使います。
小さい粒のモデル→小麦粉、液体→水とします。
コップに水を8分目ほど入れ、小麦粉を大さじ2はい入れて、よくかきまぜてから、どのように見えるか観察します。
ーーーまぜると乳白色になりますね。このことから、牛乳が白く見えるのは「液体の中に小さい粒がたくさん浮かんでいて、この粒が光を反射しているためらしい」とわかります。
では、これより、牛乳にはこの小さな粒の成分や、そのほかどんな成分がふくまれているのか調べていくことにしましょう。
【実験 2】バターは牛乳 から作 られるとよく聞 きます。そこで牛乳 の中 にバターのもと、つまり脂肪 分 がふくまれていることを確 かめてみましょう。
調 べ方
ふつうの透明な液体は紙に垂らしても、かわかすとしみにはなりませんが、油は半透明な特有のしみが残ります。この性質を使って確かめてみましょう。
(1)まず、牛乳のほかに比較のため、オレンジジュース、食用油、酢、スキンクリーム(ニベアなど)、水などを用意します
(2)画用紙を5㎝四方ぐらいに切ったものを、試料の数だけ用意します
(3)画用紙の中央に、それぞれの試料を2、3滴つけてかわかします(スキンクリームは少量ぬる)
(4)かわいたら、しみのようすを調べます
ーーー牛乳をたらすと、紙に油分特有のしみが少々残りましたね。比較のために実験した食用油とスキンクリームも油分があるため、特有のしみが残りました。油分のない酢、水はしみが残らず、同じく油分のないオレンジジュースは油分特有のしみとはちがう色のしみになります。このことから、牛乳には脂肪分がふくまれていると考えられます。※クリーム類には脂分があってもしみができにくいものがあるので、しみができる種類のものを使いましょう。
【実験 3】牛乳 に、あま味 の成分 (糖分 )がふくまれているかどうかを確 かめてみましょう。
牛乳を自然の状態(牛の体温と同じくらいの38℃くらい)にして、糖分の有無を確かめてみましょう。
(1)冷蔵庫から出した牛乳を100㎤ほどを小なべに入れ、火にかけ40℃にします。
(2)火をとめコップに移し、38℃ぐらいになった牛乳の味をみます。
※注意:火を使うときには、やけどや火事に十分注意してください。
ーーーかなりあまい味がしたはずです。牛乳にはあま味があるのですね。あま味があるということは糖分がふくまれていることになります。くわしくいうと、あま味のもとは乳糖という成分なのです。
ーーー次に、タンパク質には酸性の液を加えると固まるという性質があります。この性質を使って、牛乳の中にタンパク質があるかどうかを調べてみましょう。
【実験 4】牛乳 に酢 を加 えて、牛乳 の中 にタンパク質 があるかどうかを調 べてみます。
(1)牛乳100㎤を小なべに入れ、中火で加熱します。
(2)40℃になったら火を止め、酢を10㎤加えます。
(3)ゆっくりかきまぜていると、液体部分と白いモロモロのかたまりに分かれます
(4)ザルにふきんをしいて、なべに中身をあけ、白いかたまりをこし取ります。下にたまる液体もとっておきます。
(5)ふきんのはしをまとめて持ち、かるくしぼるととうふのような白いかたまりがとれるので食べて味をみます。下にたまった液についても色と味を確かめます。
(6)白いかたまりの一部を広げ、日光によくあててかわかし、その一部をピンセットなどでつまんで火にかざし、こがしてにおいをかぎます。
ーーーこがしたときのにおいはそれほど強いものではないのですが、つめや髪の毛をこがしたときのにおいに近いものだったはずです。それはタンパク質をこがしたときに発生する特有なにおいです。牛乳からとり出された白いかたまりは、カードと呼ばれるタンパク質です。また、下にたまった液体がホエーといわれ、水にとけるタンパク質がふくまれています。
牛乳 はなぜ白 く見 えるのか
太陽の光は白色光といわれますが、プリズムを通すとわかるように7つの色をふくんでいます。
赤いりんごが赤く見えるのはりんごにあたった光のうち、赤色だけが反射されて目に届くためです。ほかの色は吸収されてしまうのです。半透明な氷砂糖を細かくくだくと、白い粒になります。これは、小さな粒になった氷砂糖の粒子が光をすべての方向に反射する(乱反射といいます)からです。
つまり、牛乳が白く見えるのは、牛乳の中に非常に小さい粒がとてもたくさんあるからだということがいえます。
牛乳 の成分
牛乳の中にある粒のうち、おもなものはタンパク質と脂肪です。牛乳の中の固形分はおよそ11%で、野菜の固形分が5~9%ですから、牛乳は液体のすがたをしていても固形分がかなり多い食品なのです。牛乳の中の粒はとても小さく、水分の中に均質に浮かんでいます。
牛乳のタンパク質の粒はカゼインと呼ばれ、非常に小さな粒です。脂肪の粒はもう少し大きいのですが、数はずっと少ないのです。脂肪を除いた脱脂乳でも、牛乳同様に白く見えることから、牛乳の白さの原因はタンパク質の粒だと言えます。
液中にとけている成分は乳糖、タンパク質の一部(ホエータンパク質)、ミネラルの一部などです。
「自由 研究 ワークシート」
「自由研究ワークシート」をダウンロードして「レポートの書き方」を参考に実験をまとめてみよう。また「発展研究」でもっと実験をしてみよう!
「自由研究ワークシート」がダウンロードできます。
まとめ方
「まとめ方のコツ 実験の例」を見てみよう
注意
実験 の前 と後 には、食器 や手 をキレイに洗 いましょう。食材 や食器 は、使 ってよいものか、おうちの人 に確認 しましょう。火 を使 う実験 は、おうちの人 とやりましょう。