こたえ:恒星は「核融合反応」で光り、ほかの星は恒星の光を反射して光ります。
星は、太陽などの「恒星」と、恒星のまわりを回る「惑星」(火星、地球など)、惑星のまわりを回る「衛星」(エウロパ、月など)、細長いだ円の軌道で恒星のまわりを回る「彗星」(ハレー彗星など)の4種類に分けられます。そして、光り方は2通り。恒星のように自分の力で光るか、惑星・衛星・彗星のようにほかの星の光を反射して光るか、です(関連記事「月はどうして光っているの?」)。ここでは太陽を例に、恒星が光るしくみを見てみましょう。
「太陽が燃える」という表現を見たり聞いたりすることがあるかもしれません。けれども、太陽では石油やガスなどの燃料が酸素と結びついて燃焼が起きているわけではありません。たとえば、太陽が同じ質量(重さ)の石油だったと仮定すると、今と同じくらいの明るさで輝き続けられるのは数千年だそうです1)。太陽は約46億年前に誕生し、寿命は約50億年後だといわれていますから、太陽は石油とは比べものにならないほど大きなエネルギー源を持っているということになります。
その大きなエネルギー源とは、水素。太陽は、水素を燃料とする「核融合反応」でエネルギーを生み出します。核融合反応は、軽い原子どうしが衝突してくっつき(融合)、それより重い原子に変わる反応2)。衝突してくっついた原子は、ほんの少しだけ質量を失います(質量欠損)が、その代わりに大きなエネルギーを生み出します。太陽の中心部は、1600万℃・2400億気圧と高温高圧の状態で、水素原子は熱運動によって激しくぶつかり合い、ヘリウム原子がつくられる核融合反応が起きています。その結果、莫大なエネルギーが発生し、一部が光や熱として地球に届くのです3)。
太陽で起きている核融合反応は、水素1gから7000億kWhのエネルギーを生み出すとても効率の高い反応です4)。けれども、太陽の内部にある水素は無尽蔵ではないので、核融合反応もいつか終わりをむかえます。核融合反応で太陽の水素がなくなるまでは、あと50億年。それまでは今と同じように輝き続けますが、その後は中心部から温度が上がる一方で外側は膨張し、表面温度が下がって「赤色巨星」になります。膨張した太陽はやがて地球をのみこんでしまうだろう、といわれています(関連記事「地球はいつ滅亡するの?」)。
記事公開:2022年10月
参考資料
監修者:大山光晴
1957年東京都生まれ。東京工業大学大学院修士課程修了。高等学校の物理教諭、千葉県教育委員会指導主事、千葉県立長生高等学校校長等を経て、現在、秀明大学学校教師学部教授として「理数探究」や「総合的な学習の時間」の指導方法について講義・演習を担当している。科学実験教室やテレビの実験番組等への出演も多数。千葉市科学館プロジェクト・アドバイザー、日本物理教育学会常務理事、日本科学教育学会及び日本理科教育学会会員、月刊『理科の教育』編集委員等も務める。