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「子育てが楽しくなる小さなヒント」⑰ 子どもの心を強くする、「言葉がけ」と「接し方」

「子育てが楽しくなる小さなヒント」⑰ 子どもの心を強くする、「言葉がけ」と「接し方」

学研キッズネット編集部と、元保育園園長で現在「花まる子育てカレッジ」のディレクターである井坂敦子さんがタッグを組んで、月・水・金の朝6時に配信している、音声プラットフォーム『Voicy』の番組「コソダテ・ラジオ」。月曜日配信のトークテーマ「子育てが楽しくなる小さなヒント」の内容を、いつでもお読みいただけるように記事化しています。さて、今回は「心の強さ」に関するお話です。

心の“強い子”と“弱い子”の違い

いろんなお子さんに接していると、「この子は心が強いな」と思うお子さんもいれば、「この子はちょっと心が弱いな」と思うお子さんもいます。

どう違うかと言いますと、あるお子さんは、我慢ができたり、ちょっとした子ども同士のいさかいのときに感情に振り回されずにその場の状況を見て、しっかりとした受け答えができたりします。あるいは、毎日コツコツと練習や勉強をサボらずにしたり、ちょっと勇気が必要な状況のときに発言できたり……。

私たち大人は、こうしたお子さんを見ると「心が強いな」と感じます。その子の行動の中に「心の強さ」を見出しているんですね。

では、どうしてそのお子さんが、そうしたしっかりとした態度や姿勢になったのかと考えると、その子自身に「そうしたい」と思う気持ちがあるから。つまり、「心の部分が育っている」、ということなのではないでしょうか。

幼ければ幼いほど自分の感情に正直に行動するので、やりたくないときはダラダラしたり、グズグズ言ったり。勝ち負けがつくような場面で負けてしまうと、ものすごく暴れたり、悔しい気持ちに振り回されてしまったり、というようなことがありますよね。

自分の感情に正直に振る舞えることも大事ですが、大きくなってそれを出し過ぎるのは周りに迷惑です(周りへの迷惑ばかりを気にしてしまうと自分の気持ちに正直になれないということもあるので、このバランスが難しいのですが……)。

「心を育てる」とは?

「子どもの心が育っている」とはどんな状況でしょうか? 私なりの考えをご紹介したいと思います。

1つは、「自分で自分の状況を客観的に見ることができる」ということ。「こんなふうにしたら周りに迷惑じゃないかな?」や「相手がどう思うかな?」といった気持ちをもって自分自身を見つめることができる。

もう1つは、「自分と友だちとの違いを受け入れられる」ということ。ダイバーシティの基本ですが、自分や周りとの違いに対して、「違うから嫌だ」ではなく、「そういうこともあるんだな」と、違ったままでも受け入れられることが大事だと思います。

そうした姿勢を育てる根っこは、やはり家庭です。お父さん、お母さん、保護者の方たちが日頃話している内容やお子さんへ向けて発した言葉によって、子どもは自身の価値観を形作っていきます。

心を強くする“言葉がけ”

たとえば、スポーツの試合で負けてしまったとき。「悔しいけれど、勝ち負けをつけながら切磋琢磨していく中で、いい仲間と出会うことができるんだ。そして、いい関係を築いて一生の友達を作ることができるんだよ」というように、ゴールを勝ち負けではなく、少し遠いところに設定してあげる。そうすることで、勝負だけにこだわるのではなく、前に進む気持ちが少しずつその子の中に育っていきます。

もちろん、「勝ちたい気持ち」や「試合で良い成績を残したい気持ち」は、悪いことではありません。そうした気持ちを否定することなく、「お互いにそう思って頑張っているから、いい試合になるんだね。楽しいね」というふうな言葉がけができると、目の前の勝負で負けたからといって、悔しがって地団駄を踏んで終わり、ではなく、いい方向に持っていけるのではないでしょうか。

お子さんが「この子は〇〇だから嫌」と言い出したときも、「いろんな人がいるから、いろんな考え方があって豊かになっていくんだよね」というような見方を大人が伝える。違うからこそ刺激を受けるもの。他人の考え方や違いに触れて、「なるほど、そういう人にはそういう人の素晴らしさがあって素敵だな」と思う気持ち、自分の良さも認めながら相手の良さも認められるような気持ちを育ててあげて欲しいと思います。

「鏡」を上手に利用しよう!

「子どもは親の合わせ鏡」とはよく言ったものですが、子どもたちとおしゃべりをしていると、その子のお父さん、お母さん、保護者の方が言っていることと「まったく同じこと」を話してくれることが多いのに驚かされます。

小さいうちは特に、大好きなお父さんやお母さんの真似をして生きています。親御さんの考え方や素敵な所をいっぱい吸収しているので、「心が強くなって欲しいな」と願ってそうした振る舞いや接し方を親御さん自身がされていると、子どもも自然と身につけて、親御さんを超えるくらい強くなっていけるはずです。

子どもは、びっくりするような変わり方をします。ぐずぐず弱虫だった男の子が別人のようなしっかりとした青年になったり、とても勝気だった女の子が、相手のことを思いやれる、優しさを兼ね備えたお姉さんになったり……。その子が細やかに下級生の面倒を見たり、お世話したりしている姿を見ると、小さいときの心の未熟さというのは、年齢からきている部分が大きいのだなと改めて感じます。

親御さんからすると、「今こんな性格だけど大丈夫かな」などと、不安になったり心配になったりすることもあるかと思いますが、子どもは大きく変わります。長い目でわが子の成長を見据え、強い覚悟をもって、「こんなふうになって欲しいな」と意味ある言葉がけや明るい接し方を続けていただけたら嬉しいです。

 

話し手/井坂敦子 構成/清野 直

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▼井坂敦子 プロフィール

慶應義塾大学→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営  英国留学中高校生女子とボーダーコリー3頭の母

中学校高等学校教諭一種免許状(国語) 保育士 食育カウンセラー 表千家師範

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学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

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