Case 28 持たないという選択/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~
「うちは子どもにケータイもスマホも使わせていません」
先日、そんな保護者の方と話しをする機会がありました。
ケータイもスマホも持たない高校生がいた!
「うちは子どもにケータイもスマホも使わせていません」
先日、そんな保護者の方と話しをする機会がありました。
子どもにスマホを持たせない親は珍しくありません。子どもがある年齢になるまではガラケーだけに制限するパターンです。
ところがこのご家庭では、高校生の息子さんにケータイも、スマホも、iPadも、持ち歩けるもの(携帯機器)は一切与えていないのです。
「えっ、それすごく大変ですよね?」
と聞いてしまったわたしはずいぶんとスマホづけの生活になってしまっているようです。考えてみれば、学校ではケータイは使う必要がないし、家ではパソコンが使えるので、高校生にはどうしても携帯機器が必要だということはないのです。
ケータイもスマホもない高校生活
息子さんはTwitterやLINEといったSNSは自宅のパソコンでこなし、文句は言いながらも大きな問題もなく学校生活を送っています。
いちばん困るのは、部活の連絡など、急に場所や時間の変更があるものだそうです。練習や試合が急に中止になったとき、自宅を出たあとに連絡が回って、集合場所まで行ってだれもいないということもたまに起こるそう。
ほかの子は連絡が来て行かずに済むのに、自分だけ知ることができない……息子さんはそれを理由にケータイは必要だと言わないのでしょうか。あるいは、親のほうが不便に感じて持たせようか迷ったりしなかったのでしょうか。
その方の答えはきっぱりしていました。
「わたしは高校生にケータイがどうしても必要だと思わないので、与えません。ムダ足はかわいそうだけれど、うちの方針だとあきらめてもらいます。子どもがケータイを持たないと親だって不便ですが、それはしかたありません」
子どもに携帯機器を一切持たせないという選択は、親の確固たる信念や方針がないとなかなか貫けませんが、たしかにアリだなと思えました。
持たないこともできる
このケースは学校も住まいも首都圏で、携帯機器がなくても不都合が少ないという背景がありますから、たとえば安全面でケータイが必要な場合など、すべての家庭に通用する理屈ではありません。
それでも、ケータイが生活に不可欠というのは、ちょっとした思いこみだと気づかされます。じっさい20年前には、ケータイなしに駅で待ち合わせして会えずに帰ることなど、ただの残念なトラブルとして受け入れていたのですから。
いまや「ケータイを持つのか、持たないのか」ではなく、持つのはあたりまえで「いつ持つか」だけ問題になりがちですが、まず子どもの生活に携帯機器が必要なのか、あらためて考えてみるのもよいと思います。
お子さんが「ケータイがないと友だちとつながれず仲間はずれになる」と主張しても、「みんな持っているのに、自分だけこのゲームがないと仲間はずれになる」と同じことで、本人にとっては重大でも、本質的な必要さとは関係ないのです。
最初にケータイ・スマホを持たせるとき、「持つ」が絶対ではなく、多少の不便さと引きかえに「持たない」選択もできることを親は忘れてはいけないのですね。そしてそのことを子どもに示すことで、子どもの意識も変わり、ケータイ・スマホとより賢くつきあえるようになるでしょう。
さて、ケータイを持たない高校生の彼は、不便な分ほかの子より段取り力や先読み力をつけて成長しているでしょう。自分でケータイを手に入れたときにはうれしさも人一倍だろうと想像して、いまからワクワクするわたしです。
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