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祖父母の甘やかしに、わたしたち親はどう対応すれば良いか/くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て【第18回】

祖父母の甘やかしに、わたしたち親はどう対応すれば良いか/くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て【第18回】

夏休みには普段なかなか会えないおじいちゃんやおばあちゃんに、久しぶりに会った子どもたちもいたことでしょう。でもおじいちゃんやおばあちゃんが孫かわいさに子どもを甘やかしたり、お菓子やおもちゃをたくさん買い与えるので困っている、というようなことはないでしょうか?

夏休みもいよいよ終盤になりました。今年の夏休みはいかがでしたか?
普段なかなか会えないおじいちゃんやおばあちゃんに、久しぶりに会った子どもたちもいたことでしょう。
あるいは、長期で子どもを実家に預かってもらった、という保護者もいらっしゃるかもしれませんね。

いずれにしても、いろいろな人との関わりは、子どもたちにとっての学びの場ともなりますので、貴重な経験となったことでしょう。また、保護者にとっても、親や義父母の存在はありがたいものですね。

我が家も、3人の子どもたちが小学生のころ、学校の長期の休みを利用してよく実家に泊まりに行ったものです。そして、彼らにとっては、おとなになった今でも、それがとても良い思い出となっています。普段いっしょに過ごしていない祖母(祖父はすでに他界)や、いとことの関わりがとても思い出深いものになっているようで、家族での何気ない会話の中にもそんな話が出てきます。

祖父母の甘やかしに困ったら

ただ、とても良いこととわかっていても、親や義父母の子どもへの接し方に不満がある、という話もよく耳にします。例えば、おじいちゃんやおばあちゃんが孫かわいさに子どもを甘やかしたり、お菓子やおもちゃをたくさん買い与えるので困っている、というようなことはないでしょうか?

現代は一人っ子の家庭も多く、場合によっては、子ども一人に対して、父母と両祖父母、合計六人のおとながいるというようなケースも決して珍しいことではなくなりました。すなわち、多くのおとなの目が、たった一人の子どもに注がれているということです。

これには、もちろん良い面もあります。その反面、甘やかし過ぎると子どもがわがままになってしまうのでは? と心配になってしまいますね。
自分の親や義父母に、家庭の教育方針を伝えてそれにしたがってほしいけれど、遠慮してしまって言いたいことが言えずストレスが溜まるということもあるでしょう。

今回は、そんな場合の対処法をいっしょに考えていきましょう。

アドラー流コミュニケーションの方法

アドラー心理学には、基本となる5つの柱があるのですが、その一つが「対人関係論」で、「人の悩みのほとんどは、対人関係によるものである」という考え方です。

子育てだけでなく、どんな人との関係もよりよく改善することのできるアドラー流のコミュニケーションの方法をお伝えしたいと思います。

まずは、「どんな人とも、上下の関係でなく対等な関係である。」と考えてみてください。つまり、必要以上にあがめたり、逆に見下したりすることなく、尊敬・信頼・共感することが大切と考えるのです。

いつも子どもを愛し大切にしてくれることにも、感謝の気持ちを持ちたいもの。
思っているだけではなく、きちんと言葉にして、一度だけではなく何度も伝えてみましょう。

感謝されて悪い気がする人はいません。そうやって、わたしたち自身が親や義父母との信頼関係を作ることは、良い人間関係を築くという生きたお手本にもなります。

また、家庭の教育方針とは違うことをされてしまったとしても、あまり神経質にならなくても良いのです。少しは大目にみるということも時には必要だと思うのです。おじいちゃんやおばあちゃんは、孫がかわいくてたまらずにしてしまうだけで、決して悪気などありません。

子どもにとって悪い影響があるのでは? と思ってしまうのは仕方のないことですが、子どもたちにとって、逃げ場や甘える場所があることは、決して悪い面ばかりではないのです。

それに、普段一番よく見ているのは親の背中なので、それほどがむしゃらにならなくても、やがて子ども自身が成長すれば、案外うまくいっているものです。

押し付けるのではなくお願いしてみる

もう一つのポイントは、普段からさりげなく子育ての方針について、親や義父母に遠慮せずに話しておくこと。方法が違うからと責めるのではなく、協力してくれるようお願いしてみると良いでしょう。

例えば、「いつもありがとうございます。でも、我が家では、子どもにがまんすることを教えることも必要だと思いますので、あまり甘やかし過ぎないよう、協力してもらえると助かります。」と、冷静に言ってみてはいかがでしょうか?

また、わたしたち親が実際に、子どもを尊敬し信頼し共感する姿を見せることで、何かを感じとり、協力してくれるようになるかもしれません。

いずれにしても、子どもたちにとっては、厳しい人、優しい人、甘やかしてくれる人、勇気づけをしてくれる人、勇気くじきをする人等々、さまざまな人と関わることは、対人関係を学ぶ上で良いトレーニングになります。

そして、わたしたち自身にとっても良いトレーニングになりますので、神経質になり過ぎずに、ぜひ取り組んでみてください。

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松井美香(まついみか)

松井美香(まついみか)

松井美香(まついみか)

東京音楽大学ピアノ専攻卒業。「勇気づけの音楽家」。大学卒業後約10年間公立中学校に勤務。その頃偶然、教員研修でアドラー心理学に出会い、岩井俊憲氏の元で学び約25年が経過。自身のピアノ教室や子育てにおいてアドラー心理学を実践する中、子どもたちが音楽や部活動を続けながらも有名大学に続々と合格し夢を叶えている。長男(21歳)と双子(18歳)三人の男子の母。現在、保護者や音楽指導者に向け、執筆やセミナーを通して「勇気づけの指導法」を広める活動をしている。

*学研「おんがく通信」にて、コラム「勇気づけのピアノレッスン」連載中

*学研プラス出版「あなたの想いが届く愛のピアノレッスン」にて、手記「ある教室のささやかなサクセスストーリー」を執筆

松井美香公式ホームページ:

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