自ら勉強する子になってほしいのなら・・・前編/くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て【第28回】
「勉強は自分の課題である」子ども自身がそれを感じたときに、はじめて勉強を「他人ごと」ではなく「自分ごと」として考えることができるようになります。
小学生以上のお子さんがいる保護者の悩み
「子どもが勉強をしなくて……(本当に困っている)」という保護者の相談をよく受けます。
遊ぶことばかりに興味があり、勉強しようとしない我が子を見て、どうしてもイライラ、モヤモヤ、しまいには、カッとしてしまうという声も多く聞きます。
今の子どもたちは、テレビやゲームなどの娯楽が身近にあり、誘惑がたくさんあるから勉強に気持ちが向かいにくいとも言われますね。
現代は学歴社会ではないとはいうものの、小学生以上になれば学校で成績がつきますし、我が子が宿題をきちんとやらなかったり、勉強に関心がなかったりすると、保護者が不安になるのは当然のことと思います。
子どもの勉強に関する悩みを、アドラー流ではどのように考え、また実際に、どうすれば良いのか。今回は、このテーマについていっしょに考えていきましょう。
勉強は誰のため?
当たり前の話ですが、勉強は親のためにするのではありません。本人が社会に出て困らないよう、自分のためにするものです。
そうは言っても、将来本人が困らないよう面倒をみるのが親の役目、と考える家庭も少なくありません。それが決して間違っているとは思いませんし、子どもの幸せを願うのが親心です。
ただ、アドラー流で考えるのであれば、「勉強は本人の課題であって、親の課題ではない」のです。親が肩代わりするものではないと考えます。
勉強するかしないかを最終的に決めるのは、あくまでも子ども本人。そしてその結果の責任を負うのも本人。勉強しないで将来困るのは本人であって、保護者ではありません。
「勉強しなさい」は逆効果
結論から言うと、「勉強しなさい」も「宿題をしなさい」も逆効果になります。
小学校低学年のうちは、それでもまだ、いやいやながらもなんとか勉強するかもしれません。
でも、小学高学年にもなれば、そういった言葉は親への反抗心につながります。テレビやゲームばかりに夢中になっている我が子を見るに見かねて、つい口を出してしまうという保護者の気持ちはわかりますが、そこをぐっとこらえてみてください。
思春期の子どもたちは「親に支配されたくない。子ども扱いされたくない。」と思っています。ですから、言えば言うほど、気持ちは勉強に向かわなくなっていきます。
では、どのようにすれば自分から勉強するようになるのでしょうか?
まずは命令しないことです。
アドラー心理学では、子どもと対等の関係を築くことを提案しています。「○○しなさい」という命令は、上下関係からくる言葉であって、決して対等の関係ではありません。これでは対立を生むだけで、良い効果は得られません。
「責任」を学ばせることの重要性
成長するうえで大切なのは「自分の行動に責任を持つこと」です。
勉強していなくて困ったという体験を、一度しっかり味わったほうが良いかもしれません。失敗して良いのです。勉強しないとこういう結果になる、ということを早くから知っておいたほうが、子どものためになります。
たとえば、テストで悪い成績をとってがっくりする経験も悪くはありません。また、宿題をしていかないで学校の先生に叱られたり、恥ずかしい思いをする、という経験があっても良いのです。
「そんなことできない。」
今、あなたはもしかしたら、そう思ったかもしれません。でも、子どもの幸せを心から願うのなら、できる限り早い時期に、このような体験をさせてあげることをおすすめします。
なぜなら、人は失敗によって、一番多く学ぶことができるからです。
「『勉強しなさい』『宿題をしなさい』という声かけは一切したことがない」
学業が優秀な子どもがいる、わたしの友人たちは全員同じように言っています。
もともと子どもが優秀だからでしょうか?
もちろんそういった要因がないとは言い切れませんが、人は環境によって能力を最大限に発揮できるとも言われます。
「勉強は自分の課題である」
子ども自身がそれを感じたときに、はじめて勉強を「他人ごと」ではなく「自分ごと」として考えることができるようになります。
「勉強しなさい」という声かけは、子どもの課題を奪ってしまいかねません 。わたしたち親のつとめは、子どもの課題を奪うのではなく、子どもが課題を「自分ごと」として捉えられるような機会を作ることなのではないでしょうか。
子どもの勉強については、次回も引き続き書いてみたいと思います。
次回もどうぞお楽しみに。
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