自ら勉強する子になってほしいのなら・・・後編/くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て【第29回】
「学ぶことが楽しい」と感じることができれば、子どもたちは、自分から積極的に取り組むことができるようになるのではないでしょうか。では、子どもたちが「学ぶことが楽しい」と感じる心を、わたしたちはどう育てたら良いでしょう?
勉強は子どもの課題である
アドラー流子育てでは、勉強するのは本人の課題であり、親が肩代わりすることではない、と前回お伝えしました。
でも、やはり勉強に全く関心がないのも、この先心配という気持ちもよくわかります。誰もが、我が子に自ら積極的に勉強に取り組んで欲しいと願うものです。
今回も、子どもの勉強について、改めていっしょに考えてみたいと思います。
「学ぶことは楽しい」と感じる心を育てましょう
「勉強することは大変なこと。辛いこと。」どちらかといえば、そのように感じているおとなが比較的多いように思います。おとながそう思っていると、子どもたちも「遊びは楽しいけど、勉強は難しくて面倒」そう感じてしまう傾向があります。
そもそも、勉強は難しいものなのでしょうか? 面倒なものなのでしょうか? わたしは公立中学校で教師をしていた頃から、その思いを持ち続けています。
たしかに、机の上だけの勉強は退屈で大変なこともあるかもしれません。まして「やらされている」という感覚でやっていたら、苦しいものになってしまうことでしょう。
でも、もし「学ぶことが楽しい」と感じることができれば、子どもたちは、自分から積極的に取り組むことができるようになるのではないでしょうか。
では、子どもたちが「学ぶことが楽しい」と感じる心を、わたしたちはどう育てたら良いでしょう。
子どもはもともと知的好奇心を持っています
2~6歳くらいの子どもたちは、よくこんな質問をします。
「なんで? どうして?」
これは、まさしく知的好奇心ですね。
こんな質問をしてきたときこそ、チャンスです。
子どもたちは突然、突拍子もない質問を投げかけてくることもあるので、ときには、上手に答えられないこともあることでしょう。
また、家事をしている最中に、そのような質問をされたりすると
「今、それどころじゃないから! あとにして!」
と一蹴してしまいがちですが、まずは、「聞きたい」という子どもの気持ちを受け止めてあげることも大切です。
「お母さんもよくわからないから、あとでいっしょに調べてみようか」といった言葉かけも良いですし、もう少し年齢が上の子どもであれば、
「良い質問ね。お母さんもそれ知りたいな。お母さん、今は手が離せないから、自分で調べられるかな? で、わかったら、あとでお母さんにも教えてくれる?」
こんなふうに言ってみたら、自分で調べるようになるのではないでしょうか?
「自分でできた!」が喜びに変わる
人にやらされるのではなく、自ら考えたり作り上げたりしたものに、人は喜びを感じるものです。だとしたら、興味のあることを、とことんやらせてあげるのも良い方法です。たとえ、それが学校の教科に結びつかなかったとしても。
たとえ、それが親の意図するものではないとしても、命の危険がない限りは、やらせてあげて良いと思います。
そうすることによって、「自分はできる! 楽しい!」という、心の内から湧き出る喜びにつながるのです。ひとつのものを達成し満足できれば、それが自信につながります。将来、何か困難なことに出会ってしまったときでも、自分に自信がある子は自分の力で乗り越えられるようになっていきます。
自信をつけることで成長する
学校で習う教科や机の上ですることだけが、勉強ではありません。
知識を得ることは、とても大切な学習の要素ではありますが、それだけが勉強ではないということも、知っておいて欲しいことのひとつです。
わたしたち親は、つい見えやすい「成績」というものに、意識が向いてしまいがちです。でも、子どもを育てる上で本当に大切なのは、表面的なことではなく、目に見えにくい成績以外のことなのです。
グローバルな人材育成が求められている昨今では、創造する力や知識を応用する力、または、共同作業やコミュニケーション、問題解決能力などなど、成績では測りきれないものが重要と考えられています。
子どもたちの将来を真剣に考えるのであれば、目先の勉強や成績だけに関心を向けるのではなく、子どもたちが、自分の行く先を自分自身で決められるよう、また、未来を自分自身の力で切り開けるよう見守り援助する、そういった姿勢で子育てをしていきたいものです。
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