小麦 の自給 率 は18%!
2023年8月に発表された農林水産省のデータによると、日本の食料自給率は38%(カロリーベース)、パンをつくるときに欠かせない「小麦」の自給率はさらに低く、およそ18%(カロリーベース)ということがわかっているよ。
食料自給 率 ってなに?
みんなが普段食べている食品やその原材料には、「日本でつくられたもの」と「海外から輸入しているもの」があるんだ。
食料自給率とは、国ごとに食べている食料のうち、どのくらいが国内で生産されているかという割合のこと。
一般的には、
(ひとりが1日に食べる国産食品のカロリー)÷(ひとりが1日に食べる全食品のカロリー)
で計算される「カロリーベース総合食料自給率」のことを示すよ。
ちなみに、お米の食料自給率は100%、野菜は76%。食料自給率が低いほど、輸入にたよっていると言えるよ。ほかの食品についても調べてみよう。
<参考リンク>
知るから始める「食料自給率のはなし」(農林水産省)
食料自給率のお話(連載)(農林水産省)
令和5年度 食料自給率・食料自給力指標について(農林水産省)
食料自給率とはなんですか?(学研キッズネット)
パン用 小麦 の自給 率 は8%!?
日本の小麦の自給率は18%だったよね。これは、食生活の変化によって、小麦粉を使った食品の消費量が増えていることが関係しているんだ。
また、「パン用小麦」で見るとさらに低く、およそ8%。パン用小麦を日本でつくるのがむずかしいことが、自給率が低い理由のひとつだと考えられているよ。

じつは、国産の小麦の大部分は、うどん用の中力粉。パンやパスタといった麺類に使用する強力粉は、これまで日本ではあまりつくられていなかったんだ。現在では、たくさんの人の努力と働きかけによって、パンに適した小麦の品種が少しずつ増えてきているよ。
小麦には、それぞれの食品に適した品種があるということも、食料自給率に関係しているんだね。ほかにはどんな理由があるのか調べてみよう。
<参考リンク>
小麦の自給率(農林水産省)
日本の小麦の自給率について(Pasco公式サイト)
まんが地球防衛隊SDGs「小麦の自給率UPのためにできること」(学研キッズネット)
消費者の行動及び志向の変化(農林水産省)
輸入 にたよっていると、なにが困 るの?
このまま小麦の自給率が低い状態が続くと、みんなの暮らしにどんな影響があるだろう?
世界 で起 こるさまざまな出来事 の影響 を受 けやすくなる
たとえば、紛争が起こって輸入できなくなったり、自然災害などで海外の小麦の生産量が減り、日本の分まで確保できなくなったりしたら……?
日本 国内 の小麦 農家 が増 えづらくなる可能性 がある
小麦 の自給 率 アップのためにできることは?
現状の自給率の低さや課題を調べて家族や友だちと話し合うことも、小麦の自給率アップにつながる第一歩になるよ。ほかに、わたしたちにできることはないか考えてみよう。
1.国産 小麦 の小麦粉 を使 った商品 開発 と販売
国産の小麦の生産量を上げて消費を増やすためには、「国産小麦の小麦粉を使った商品をたくさんつくる」こと。
たとえば、パンのメーカーであるPasco(パスコ)は、2008年から国産小麦の小麦粉を使った商品開発を続けているよ。現在では、食パンやロールパン、菓子パンや菓子など、約140種類の商品をつくっているんだ。
<参考リンク>
Pascoの和小麦(Pasco公式サイト)
2.国産 小麦 の商品 を食 べて応援 する
小麦の自給率アップのためにできる一番身近な行動は、「国産小麦の商品を食べる」ことなんだ。
みんなは、食品を買うときに原材料を確認したことはあるかな? とっても簡単なことだけど、その行動が国産小麦の消費量を増やし、食料自給率アップへとつながっていくよ。
【やってみよう!】国産 小麦 のパンはどこにある? パンMAPをつくろう
今回は、小麦粉を使った食品のなかでも、パンについて調べてみよう。
国産小麦のパンをたくさん食べるには、どこに売っているかを知ることがスタートになるよ。国産小麦のパンを買えるお店を探して、「パンMAP」をつくろう!

やり方
①自宅周辺の地図を用意して、国産小麦のパンを取り扱っていそうなお店をチェックする。
②実際にお店をまわって、調べる。
③印刷(もしくはイラスト化)した地図に、パンを見つけたしるしをつける。またはお店の絵を描く。
④取り扱っていた商品や、パンMAPをつくって感じたこと、さらに国産小麦のパンが売られているお店を増やすにはどうしたらいいかなど、自分の考えをまとめる。
ヒント!
・パッケージや原材料をよくチェックしてみよう。
・お店の人に「国産小麦のパンを置いている理由」「お客さんからの反応」「商品の売れ行き」などを聞いてパンMAPに加えると、さらに深い調べ学習になるよ。
発表 してみよう
できあがったパンMAPを家族やお友だちに共有して、みんなの意見を聞いてみよう。
さらに一工夫 !
うどんやパスタ、ケーキなど、パン以外の国産小麦の小麦粉を使った商品も探してみるとおもしろいかもしれないね。
【発展 】企業 の取 り組 みを調 べてみよう
小麦の自給率をアップさせるためには、国産小麦の小麦粉を使った商品をたくさんつくって食べることが、解決策のひとつ。
そのためには、小麦をつくる人や研究する人たちと協力しながら、国産小麦の生産量を増やしていくこと、さらには、つくった商品をお客さんに知ってもらうこともすごく重要なんだ。
Pasco(パスコ)では、おいしい国産小麦のパンをもっとたくさんの人に知ってもらうために、国産の小麦選びから小麦粉づくり、ブレンドにもこだわった「和小麦」というブランドを立ち上げたんだって。
その取り組みを、より多くの人に知ってもらうための活動にも力を入れていて、たとえば、「和小麦」のロゴマークをパッケージに記載することで、お客さんに知ってもらうことも、そのひとつ。

リバネスと協働で行っている、「ゆめちから」栽培研究プログラムでは、中学生が北海道で生まれた国産小麦「ゆめちから」の栽培方法を学校で研究して、その成果を発表したりしているんだって。

ほかにも、主な国産小麦の生産地である北海道を巡るツアーを開催しているよ。小麦からパンになるまでを自分の目で見て触って味わって、五感で体験することで、国産小麦のパン・菓子づくりへのこだわり、そして、取り組みへの想いを伝えているんだ。
企業の取り組みや挑戦をくわしく調べてみると、自由研究をより「自分たちの課題」として感じることができるね。ぜひ、おうちの人とも話し合ってみよう!
イラスト:奈良裕己/デザイン:ブラフマン/文:水谷映美/編集:石橋沙織(学研キッズネット)