夕立ちのあと外を見ると、植物はしっとりとぬれて、生き生きして見えますね。葉っぱもよごれが洗い流されてきれいに見えます。さて、もう少しよく葉っぱを見ると、葉の上に雨水が玉のようになっていたり、葉っぱ全体がしっとりぬれていたり、葉の先のほうに水玉があるだけであとはもうかわいていたりと、さまざまです。同じように雨にあたったはずなのにどうしてぬれ方に違いがでたのでしょうか。おそらく、水をはじくはじき方が植物によって違うのではないかと考えられますね。そこで、どんな葉っぱが水をはじく力が強いのか、このあたりにまとをしぼって調べてみましょう。
準備 するもの
・身近な植物の葉(ササ、ススキ、ツツジ、ヨモギ、サクラぐらいで十分)
・スポイト、ひとつ
・ルーペ、1個(虫めがねでもよいが倍率は高い方がよい)
実験 のやり方
水をはじく力の大小は、どのようにして見分ければよいでしょうか。ここで雨の日にさすかさを思い出してみましょう。買ったばかりの、よく水をはじくときのかさは、雨水がかさの上で玉のようになっていますね。長く使って水をはじく力が弱くなると、雨水はかさの布にべったりと広がってつきます。この現象を利用しましょう。
葉っぱに水滴を1滴のせたとき、水滴が玉のようになっているものほど、水をはじく力が強いものとしてみます。すると図のような水滴の形から、水をはじく力の強弱がくらべられますね。
ではこれをもとに、いろいろな植物の葉の水のはじき方から調べていきましょう。
【実験 1】いろいろな植物 の葉 で、水 をはじく力 を調 べてみる。
1.調べる植物の葉は、ササ、ススキ、ツツジ、ヨモギ、サクラくらいで十分です、もしもこれらの葉が手に入らないときは、似たような葉っぱで代用しましょう。どんな葉があるかは、最後の方に記してあるので参考にしてください。
2.まずそれぞれの葉を平らなところに置きます。そして図のように、その上からスポイトで水を1滴たらします。そして水滴がどんな形になるかを記録します。
3.水滴は、葉っぱにできるだけ近い位置から落とすことと、同じスポイトで実験することを守ってください。
4.葉っぱは、表面だけでなく裏側も調べてください。
ーーーササやススキ、ヨモギの葉の表側は、水をはじく力が強かったと思います。それよりも強かったのは、ササやススキやヨモギの葉の裏側です。これらの植物の葉の裏側では、水はほとんど球状で、ちょっとかたむけるとコロコロところがり落ちてしまうほどでしたね。
この水をはじく力は、葉っぱの表面の様子とどんな関係があるのでしょうか。次に、葉っぱの表面の様子を観察してみましょう。
【実験 2】植物 の葉 の表面 の様子 を、ルーペで観察 する。
1.調べる植物の葉は、実験1で使ったものです。
2.それぞれの葉を、図のように曲げます。、曲がったところを中心に、葉の表面の様子をルーペで観察しましょう。
3.ひとつの葉は表側と裏側の両方を観察しましょう。
ーーー水をよくはじいたササやススキの葉の表側には、葉脈(葉のすじ)にそって小さな凹凸がびっしりありましたね。でも、ササとススキの葉の裏側のほうが表側よりも凹凸が小さかったことに気づきましたか?裏側のほうが水をよくはじいたことをあわせて考えると、凹凸が小さいほど水をはじく力が強いといえそうですね。
また、ヨモギの葉は面面に小さな毛がはえていますが、裏側にはもっと細かい毛がからみあってはえているように見えます。裏側のほうが水をはじく力が強かったことを考えあわせると、はえている毛が細かいほど、水をはじく力が強くなるように考えられます。
さらに植物は、水をはじく力のもととして、油やロウを葉の表面につけていないかということも気になってきますね。こんどは、よく水をはじいたささとススキとよもぎにまとをしぼって調べてみましょう。
【実験 3】植物 の葉 に油 やロウなどがついていたため水 をはじいたのかを確 かめる。
1.使う葉っぱはよく水をはじいたササとススキとヨモギにしぼりましょう。
2.それぞれの葉っぱの上半分のみ、表も裏も石けんをつけてよく洗います。
3.その後十分に水洗いをして、かわかします。
4.洗ったほうと洗わなかった方のそれぞれに、水滴を1滴ずつ落とし、水をはじく力をみます。もしも油やロウがついていて、これらが水をはじく力のもとになっていたとすれば、石けんで洗ったほうの水をはじく力が弱まるはずです。
ーーー石けんで洗おうと洗うまいと、水をはじく力に変わりがありませんでしたね。ということは、水をはじく力のもととして油やロウは関係ないことになってきます。すると、実験2からわかったように、小さな凹凸や細かい毛が、水をはじく力のもとのように思われます。
おそらく、あまりに小さな凹凸の間や細かな毛のすきまには水がしみこみにくく、そのため水がまわりに広がっていかない、つまり水がはじかれてしまうのかもしれません。そこでこんどは、小さな細かな毛の中に水をむりにしみこませたとき、それでも水をはじくかどうか確かめてみましょう。
【実験 4】ササ・ススキ・ヨモギの凹凸 や細 かな毛 のすき間 に、むりに水 をしみこませたとき、水 をはじくかどうかを確 かめる。
1.こんどは、うすい石けん水を使います。
2.ササ・ススキ・ヨモギの葉の表と裏の両方に石けん水を1滴ずつたらして、液の様子を観察しましょう。
石けん水は純粋な水よりも細かいところに入りやすいので、葉っぱの凹凸や細かな毛のすき間にも入りこめるかもしれません。凹凸やすき間に入り込んでも、なお水がはじかれるようなら、水をはじく原因がほかに何かあるはずです。
ーーー実験してみると、どの葉でも石けん水は凹凸や細かい毛のすき間にしみこみ、広く葉っぱの上に広がってしまいましたね。凹凸や細かい毛のすき間に入りこめれば水ははじかれないというわけです。
これまでの結果から考えると、葉っぱが水をはじく力のものとは、葉っぱの表面の小さな凹凸や細かな毛が原因らしいとわかってきました。凹凸は小さいほど、毛は細かくて密なほど水が入りにくいため、水をはじく力は強くなることがわかってきましたね。
もしも植物 が手 にはいらないとき
ササやススキのかわりに | イネ、オオムギ、コムギ、ヒエ、スズメノテッポウ、オヒシバ、カモジグサなど、イネやススキの |
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ツツジ | |
ヨモギ | |
サクラ |
「自由 研究 ワークシート」
「自由研究ワークシート」がダウンロードできます。ワークシート内の「レポートの書き方」を参考に実験をまとめてみたり、「発展研究」を読んでもっと実験をしてみましょう。
まとめ方
「まとめ方のコツ 実験の例」を見てみよう
注意
実験 をするときは、必 ずおうちの人 に実験 することを伝 えておこう。実験 に使 う材料 や道具 などは、使 ってよいものかどうか、おうちの人 に確 かめよう。- むずかしい
実験 をするときは、おうちの人 に手伝 ってもらおう。 実験 が終 わったらきちんとあとかたづけをし、実験 に使 ったものを、家族 が口 に入 れたりしないように気 をつけよう。実験 で使 ったものや作 った作品 は、小 さい子 の手 のとどかない場所 にしまうこと。実験 をしたあとは、必 ず手 をよくあらうこと。