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Case 49 わたしをほうっておいて……/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

Case 49 わたしをほうっておいて……/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

SNSでのつながりとリアルのつながり、それぞれに一長一短があります。

音信不通も、ネット以前はよくある話

先日わたしの高校の同窓会がありました。同窓会に特化したSNSを利用したところ、住所不明の人に、いまも連絡がつく人が招待を送るシステムがうまくできていて、それまでの名簿では連絡できなかった人がつぎつぎと参加し、同窓会は大盛況になりました。当日はあちこちでLINE交換が行われ、新たなネットワークで同級生とつながり直しました。

わたしが高校を卒業したころは、携帯電話もネットもできたばかりで、住所や電話番号でつながっていた仲間の多くは、転居をきっかけに連絡がつかなくなってしまいました。

一方、娘のユカは、高校卒業時にはすでに友だちとTwitterやLINEでつながっていて、さらにFacebookで実名や出身校を公開するアカウントを作ってからは、検索で小中学校の友だちとつながっていきました。

ユカの交友関係は、卒業や転居や結婚などにあまり影響されずこれからもつながっていくでしょう。そして小学校のころからSNSを使っているいまの子どもたちは、全員とつながったまま大人になることもできそうです。

フェードアウトがむずかしいネット

それでもつながりが切れてしまうこともあります。

ユカは中学時代の友だちのAちゃんと、連絡がとれなくなりました。

Aちゃんは、なかよしで作ったグループLINEからは抜けていませんが、メッセージはめったに既読になりません。相互フォローしていたTwitterのアカウントは削除されてしまい、Aちゃんのようすはわかりません。

クリスマス会に誘ったときは、「今回は行けない」という一言だけの返事。ユカと友だちは、いつかAちゃんがグループLINEに戻ってくれる気持ちになれたらなと気長に待っています。

Aちゃんから連絡がなくなったのは高校卒業のころでした。新生活のバタバタが一段落して、気がついたらAちゃんはLINEでずっと沈黙、Twitterアカウントも消えていたのです。
Aちゃんがなぜ距離をおいたのかはわかりません。いそがしいからか、心境の変化か、友だち間のトラブルか……それを聞くこともできません。

わたしの時代ならなんとなく疎遠になれたでしょうが、SNSでは「なんとなく」がむずかしくなりました。たとえばグループLINEから抜けたら「○○が退出しました」と画面に出てわざわざ距離をおいたことが伝わりますし、残っていても未読スルー・既読スルーは見え見えです。その子とほかのSNSでもつながっている場合、そちらは更新できるのに自分たちは無視されていると感じもするでしょう。

面でつながるリアルの交友関係

ネット上で音信不通になっても、Aちゃんのことを見かけた子から情報が入ってくることがあります。わたしも偶然Aちゃんの母親に会ったので、Aちゃんの近況を聞いてユカに伝えました。
「元気なら安心」というユカの笑顔を見て、リアルの交友関係は、個人と個人の「点」だけでなく、家族や友人や地域を含んだ「面」のつながりでもあるのだと、わたしはあらためて感じました。

もしSNSのみで知りあい、つながっていたら、アカウントを消した時点で交友関係が終わりです。SNSの更新を止めれば行方不明と同じ、アカウントがなくなればお互いは永遠の別れになります。だからこそ本音が言えるという気楽な反面、一方的に放り出せる危うさを常にはらんでいます

さまざまなつながりを含んだリアルな友人関係は、SNSの短所を補って多面的なつきあいを可能にしてくれます。お子さんがいま学校で作っている交友関係には、親ごさんや先生などが必ずかかわってきますが、それこそがリアルの良さなのですから、大切に育てていってほしいものです。

さて、わたしも同窓会で同級生がごく近所に住んでいるとわかってうれしい反面、あまり変な格好で出歩けないぞとちょっと気が重くなったりしています。リアルとネット両方でつながる、わたしと友だちの第二章がはじまりました。

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マリ(まり)

マリ(まり)

マリ(まり)

サラリーマンの夫・大学生の娘(ユカ)との3人暮らし。
大学の恩師の「あなたは一生文章を書きつづけなさい」という言葉を真に受けて、今も日々ものを書いている。
現在はIT系の会社で、セミナー関連の仕事に携わっている。
趣味は映画鑑賞。年に100本みることがひそかな目標。

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