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Case 50 スマホの春/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

Case 50 スマホの春/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

ケータイもスマホも禁止されていた家庭のお子さんが、ついに念願のスマホを手に入れました。禁止していた保護者の複雑な気持ちとは。

携帯機器禁止の高校生、ついにスマホをゲット

以前このコーナーで紹介した「ケータイやスマホなどの携帯機器をいっさい持たせない方針」※1 の家庭の高校生は、この春、希望の大学へと進みました。晴れて手に入れたスマホはもちろん最新のiPhoneXです。いまごろ彼はさまざまな機能を心から楽しんでいることでしょう。

ついに高校卒業まで携帯機器禁止を貫いた保護者の方に、感想を聞いたところ、
「とくに最後のほうは大変そうで、かわいそうとも思いました。持たせるべきかと迷いましたが、決めたことなので最後まで守らせました」とのこと。

たしかに、今年は受験シーズンに大雪が降って電車が止まったりしたので、リアルタイムに情報が入るスマホがあればと感じることもあったでしょう。

ただ、「最後のほうは大変そう」だったという気持ちには、受験期だからというだけでなく、スマホの使いかたの変化にも要因があるようです。とても印象的なことを語ってくれました。

「この数年でスマホが『時間を奪う道具』から『時間短縮の道具』に変化したのを感じました」

保護者の感じたスマホの変化

数年前、息子にケータイ・スマホを持たせないと決めたのは、ケータイやスマホは、持っているメリット以上に、ゲームやSNSやメールなどに夢中になって時間をムダづかいさせるデメリットのほうが大きいと判断したから。

ところが、数年で機能が多彩になり、地図や乗換え案内やニュースサイト、辞書や学習アプリといった役に立つ機能も充実して、スマホは効率的に時間を使うための道具なのだと見方が変わったそうです。

また、高校生のスマホ所持率は、平成25年は84%でしたが、平成28年には95%にせまっています。※2 いまはさらに上がっているでしょう。
スマホを持たない高校生が数パーセントでは、さまざまな連絡や手続きはスマホがあることを前提にしたものになり、スマホを持たないことでムダな時間や手間がかかるという逆転も起こってしまいます。

そんな変化に迷いながらも、決めた方針を最後まで親子で守ったことについて、「意地かも」と照れ笑いしていました。

スマホさえあればかんたんに解決できたトラブルもあったでしょうが、友だちの協力や、周到な準備や工夫でそれらをのりきった経験は、いまは楽しい思い出になっているのではないでしょうか。

それにしても、いまの時代に子どもに携帯機器をいっさい持たせないという選択は、親も子も相当ながんばりが必要なのはまちがいなく、わたしと娘のユカではとてもできそうもありません!

とはいえ誘惑の多いスマホをどうするか

いまあらためて、その保護者が当時の息子さんにスマホを持たせるかどうかを判断するとしたら、結論はどんなものになるのでしょう? とても興味があります。

たしかにいま、さまざまな機能でスマホは時間を有効に使うための道具になりましたが、一方で時間をムダづかいさせる側面がなくなったわけではありません。残念なことに、動画配信やネットゲームなどムダづかい方面もいっそう充実してしまっています。

持っていなくてはムダな手間がかかるかもしれないし、持っているとムダな時間を使ってしまうかもしれないスマホは、いままでもこれからも保護者の悩みの種でありつづけるでしょう。

保護者はスマホの使いかたをめぐる親子バトルに負けないで、それぞれの家庭の価値観で決めた方針を守っていってほしいとわたしは思います。

※総務省「平成28年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等」より

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マリ(まり)

マリ(まり)

マリ(まり)

サラリーマンの夫・大学生の娘(ユカ)との3人暮らし。
大学の恩師の「あなたは一生文章を書きつづけなさい」という言葉を真に受けて、今も日々ものを書いている。
現在はIT系の会社で、セミナー関連の仕事に携わっている。
趣味は映画鑑賞。年に100本みることがひそかな目標。

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