家庭の生活習慣が乱れるとスマホ熱中度が高まる/データで読み解く、子どもとスマホ【第5回】
ケータイ・スマホへのハマり具合と家庭での日常生活、どんな関係があるのでしょうか。スマホの熱中度と生活習慣の関係を読み解きます。
この調査は、小中高校生の自然体験や生活体験・日々の生活習慣の現状を把握するために実施されているものです。
平成28年5月に発表された最新の調査結果では、子どもたちの生活習慣の確立の度合いが高いほど、スマホへの熱中度が低いと指摘されています。
具体的には、
- 買い物やそうじ、料理など家のお手伝いをよくしている
- あいさつや身の回りのことを自分でできる生活習慣が身についている
こんな子どもは、スマホ熱中度が低い傾向がみられるというのです。
お手伝いをたくさんする子どもは、スマホ熱中度が低い
ここでいうスマホ熱中度とは、「特にすることがない時、とりあえず携帯電話やスマートフォンを操作している」「食事中やだんらん中でも携帯電話やスマートフォンが気になる」という質問への回答をもとに、熱中の度合いを5段階に分類したものです。
ちなみに、「特にすることがない時、とりあえず携帯電話・ スマートフォンを操作している」の割合は小6で5割をこえており、高校生になるとその割合は9割近くとなっています。※2
スマホ熱中度が高い子どもの割合
お手伝いが多い子ども 18.0%
お手伝いが少ない子ども 22.7%
基本的なお手伝いの習慣が身についている子どもは、スマホへの熱中度が低くなっています。
なお、お手伝いの内容の上位3つは「買い物の手伝いをすること」「食器をそろえたり、片付けたりすること」「家の中のお掃除や整頓を手伝うこと」で、ごく普通の内容です。※3
生活習慣が身についていない子ども、スマホ熱中度は2倍
この調査でいう生活習慣とは、「朝、食事をとること」「朝、顔を洗ったり、歯をみがいたりすること」「家であいさつをすること」などです。
スマホ熱中度が高い子どもの割合
生活習慣が身についている子ども 15.0%
生活習慣が身についていない子ども 32.6%
生活習慣が身についていない集団において、スマホ熱中度が高い子どもの割合は、生活習慣が身についた子どもの集団と比べ約2倍です。
なお、「生活習慣が身についていない」という属性の母数は12と少ないため、「生活習慣があまり身についていない」集団(母数180)の数字もみてみました。その集団でも、熱中度の高い子どもは29.5%と高い傾向でした。
生活習慣の乱れが容認される環境だと、スマホに熱中する子どもの割合が多くなることが、調査結果から読みとれます。
お手伝いも生活習慣の確立も、子育ての基本中の基本というべきことがら。保護者の最も大切な役割のひとつであることは、いうまでもありません。
子どもがスマホに熱中しすぎているようであれば、ひょっとして家庭での生活習慣が乱れてしまっているのではないか、と保護者が気を引き締める必要がありそうです。
- ※1
- 国立青少年教育振興機構「青少年の体験活動等に関する実態調査(平成26年調査)」
- ※2
- 国立青少年教育振興機構「青少年の体験活動等に関する実態調査(平成26年調査)」 “結果の概要”P28より、「よくある」「時々ある」を合計したもの
- ※3
- 「いつもしている」「時々している」を合計したもの
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