深夜スマホは子どもの心身に悪影響/データで読み解く、子どもとスマホ【第6回】
スマホを長い時間使う子どもは、睡眠時刻が遅くなりがち。文科省の調査から、子どもの眠りとスマホとの関係を読み解きます。
貴重な調査結果があります。文部科学省が平成27年に発表した「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査」です。この調査は、小中高校生を対象に文科省が初めておこなった、睡眠に関する大規模調査です。スマホについての言及もありますので、ピックアップしてみていきましょう。
スマホを長時間使う子は就寝時刻が遅い
まず就寝時刻とケータイ・スマホの接触時間のクロス集計からみてみましょう。
わかりやすいように棒グラフを色分けしてあります。青系統の色が「午前0時まで」に寝る子、オレンジ系統の色が「午前0時以降」に寝る子の割合です。
まず小学生からみてみましょう。
ケータイ・スマホでメールやインターネットを「しない」という子どもは、5割以上が午後10時までに寝ています。それに対して、「4時間以上」している子どもで、10時までに寝る子は2割未満。「しない」子の1/3未満です。
ケータイ・スマホでメールやインターネットを「しない」「1時間未満」「2時間未満」という子どもは、ほぼ8割が午前0時までに寝ています。それに対し、「4時間以上」している子どもは、0時までに寝る子が5割を切ってしまっています。
小学生・中学生とも、ケータイ・スマホの接触時間が長い子どもほど、就寝時刻が遅い傾向がわかります。長時間ケータイ・スマホを使っている子どもは、起きている間の自由時間だけでなく、睡眠を削ってケータイ・スマホ利用にあてているということが推測できます。
就寝時刻が遅い子どもは、なんでもないのにイライラする
就寝時刻は心身の調子にも影響しています。
(1)就寝時刻が早い子は、自分のことが好きだと感じている
(2)就寝時刻が遅い子は、なんでもないのにイライラする
調査結果から見えてくることはシンプルです。ケータイ・スマホにはまって長時間使っている子どもは、寝る時間が遅くなりがち。そして就寝時刻が遅くなると、イライラしたり自尊感情が低くなったりと、心の健康に悪い影響が出るということです。
成長期の子どもにとって、睡眠の大切さは言わずもがなのことです。心身の健康をそこなう長時間のケータイ・スマホ利用には、保護者がどこかでストップをかけてなくてはなりません。スマホをよく使っている子どものイライラが過ぎるようであれば、睡眠時刻を見直してみる必要がありそうです。
- ※1
- 文部科学省「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果」(平成26年調査)
- ※2
- 文部科学省「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果」(平成26年調査)資料編 図表 419より作図
- ※3 ※4 グラフは中学生についてのみ掲載
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