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PISAでみる、日本の子どもの家庭におけるICT利用/データで読み解く、子どもとスマホ【第36回】

PISAでみる、日本の子どもの家庭におけるICT利用/データで読み解く、子どもとスマホ【第36回】

小さいころからスマホに触れて育つ日本の子どもたち。国際的にみてみると、意外な姿が浮かび上がってきます。

ICTの活用、国際的にみて日本はどう?

今回から、国際的にみた日本のICT利用についてデータを読み解いていきます。

PISA(ピサ)という国際学力調査を知っていますか? 数学や科学のリテラシーで世界ランキングが報道されたり、中学入試でPISA型学力をはかる学校が増えたりしているので、なんとなく聞いたことがある、という方もいるのでは?

PISAとは、OECD(経済協力開発機構、35カ国の先進国が加盟する国際機関)が進めている生徒の学習到達度調査。15歳(日本では高校1年生)の子どもを対象に、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野の学習到達度を調査しています。(※1)

このPISA、ICTがどのように使われているかについても調査しています。

国際的なものさしではかった日本のICT利用状況は、いったいどのようなものでしょうか。

日本の15歳、家庭でのICTの利用はOECD平均にとどかず

小学校に入る前からスマホやタブレットを使い、高校生のスマホの利用率は94.8%と非常に高く(※2)、日々SNSで友だちと連絡をとりあっている日本の子どもたち。多くの方は、国際的にみて日本の子どものICT利用はトップグループにいるだろうと思ったことでしょう。

最新の調査、PISA2015の結果は意外なものです。

日本の15歳の子どもの家庭におけるICT利用状況は、ICT活用調査に参加したOECD加盟国の平均にとどかないのです。(※2)

同じPISA2015で、科学・数学のリテラシーは世界のトップグループに属する日本。ICTの活用状況がOECD平均未満とは、いったいどういうことなのでしょう。

細かくみていきましょう。

文部科学省 全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)より

PISAでは、ICT活用調査(オプション、※3)として、学校外でのICT利用状況を「家庭におけるICT利用」として指標化しています。この値が大きいほど、家庭でのICT機器利用あるいは所有の割合が高いことを示しています。

日本の「家庭におけるICT利用」の値は7.83。これは、OECD平均の8.42よりも0.59低い数値で、ICT活用調査に参加した46の国や地域で32番目。下から数えた方が早いのです。驚いてしまいますね。

ちなみに値が最も高いのはオランダ(9.30)、次いでルクセンブルク(9.11)、イギリス(9.07)が上位に並んでいます。最高値のオランダと日本の差は1.47ポイントも開いています。

15歳のノートパソコン利用が減った唯一の国

さて、日ごろICTに親しんでいるようにみえる日本の15歳の子ども。どうしてこのような結果となったのでしょうか。

指標値をさらに細かくみていくと、その理由がわかってきます。

ICT活用調査では、デスクトップコンピュータ・ノートパソコン・タブレットなど、さまざまなICT機器の保有や利用の状況を聞いています。

2009年と2015年の調査結果を比較すると、ICT活用調査に参加した国や地域は、ある1カ国をのぞいたすべての国で「ノートパソコンを使用している」と回答した子どもの割合が増えています。

その伸びは4.3ポイント~55.6ポイント。義務教育を修了した子どもがノートパソコンを利用するのは、世界的な流れといえるでしょう。

そしてこの傾向に反している唯一の国が日本です。

日本では「ノートパソコンを使用している」と回答した子どもの割合が2009年から2015年の間に5.3ポイント減少しています。

PISA2015では、「ノートパソコンを使用している」との回答は、最も指標値の高かったオランダと比べると、-45.4ポイント、OECD平均と比べても-32.0ポイントとなっています。とくに2012年から2015年の間に、ノートパソコンを家庭で所有しているが日常的に使わない、という傾向が強まっています。

日本の子どもはスマホを中心に使っているからでは? と思われたかもしれません。しかし、「携帯電話(インターネット接続有り)を使っている」でみても、日本はオランダと比べて-5.9ポイント。OECD平均と比べても-0.1ポイントで、OECD平均程度の使い方といえます。

PISAのICT活用調査を通してみると、日本の子どもはスマホの利用はOECD諸国並み、ノートパソコンは家にあるけれどあまり使わず、全体として家庭でのICT利用は進んでいない、そんな姿がみえてきます。

国際的にみた日本の子どものICT利用については、次回以降もみていきます。

※1
文部科学省 全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)
※2
国立教育政策研究所
PISA2015年調査『生徒のwell-being(生徒の「健やかさ・幸福度」)』報告書
※3
アメリカ、カナダなど一部の国はオプションであるICT活用調査に参加していない。
※3
内閣府 平成28年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)

 
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渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。

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