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「子育てが楽しくなる小さなヒント」⑲ 子どもの自立に大事なものとは?

「子育てが楽しくなる小さなヒント」⑲ 子どもの自立に大事なものとは?

学研キッズネット編集部と、元保育園園長で現在「花まる子育てカレッジ」のディレクターである井坂敦子さんがタッグを組んで、月・水・金の朝6時に配信している、音声プラットフォーム『Voicy』の番組「コソダテ・ラジオ」。月曜日配信のトークテーマ「子育てが楽しくなる小さなヒント」の内容を、いつでもお読みいただけるように記事化しています。さて、今回は「子どもの自立」に関するお話です。

自立している子は「〇〇」と言える

私は以前、「自立」というのは、子どもがなんでも自分でできるようになることを言うのだと思っていました。たとえば、「自分で洋服が着られる」とか、「朝の支度ができる」。親の手を借りなくても、自分で「やりたいこと」や「やるべきこと」を見つけ、手段も自分で考えて実行していける、というようなことだと思っていたのです。

ところが先日、医師で、子どもの脳について教えている文教大学教授・成田奈緒子先生のお話を伺い、思いを改めました。

成田先生のお話では、「周りの人に『助けて』と言える力がある」ことが自立なのだそうです。

「周りに助けを求める」というのは、どちらかというと自立の真逆に感じますよね。「自分ではできない」と言っているわけですから、一瞬「逆じゃないかな?」と。

けれど、先生のお話を聞いて、「そもそも、なんでも一人でできるわけがない。人間は周りの人間と協力しながら生きている社会的な生き物なんだから、全部自分でできるようにしなくては、というのは違うんだ」と教えられました。

ところが、この「周りに助けを求める」という行動が案外難しいというお話でした。本人が、周りに助けてもらえるだけの人間である、それだけの価値がある、というふうに自分のことを思えていないと、「助けて」と言えないのだそう。

いわゆる「自己肯定感」につながると思うのですが、自分のことを自分で認められている状態でないと、周りの人にとって「助けがい」のようなものがあると思えず、なかなか「助けて」と言い出しにくい、というお話でした。

自己肯定感と「睡眠」の関係

自己肯定感に関連して、もうひとつ成田先生に教えていただいたことがあります。

それは、「とにかく睡眠が大事」ということ。成田先生は睡眠に関する本も書かれていて、科学的なエビデンスのある研究結果もたくさんお持ちです。

その研究のお話の中で、「質の良い睡眠」がとても大事と話されていて、子どもは「夜8時に寝て朝6時に起きる」というのが理想ということでした。

大人でも「夜11時には寝て朝6時には起きる」というのが、動物である人間の理想的な睡眠の時間帯と量だということです。

最初深い眠りについて、途中5回ぐらい浅い眠りになり、また深い眠りになり、と波を作っていくのですが、その波の浅い状態のときに、その日一日見聞きしたいろいろな情報が整理されるということでした。

寝る前の脳の中は、机の上にその日見聞きしたものがばあっと並んでいる状態。寝ることによって、机の上に雑然と並んでいるものが、勉強だったら勉強の引き出し、映画だったら映画の引き出し、というように、整理をされる。そして、机の上のものが整理され終わって綺麗になっている状態が寝起きだそうです。

ですので、朝型の勉強法は、その綺麗になった状態の机でやるので、とても効率がいいというお話でした。質のいい睡眠をとると、日々見たことや聞いたこと、学んだことなどが頭の中にしっかり残り、それが使えるようになっていくんですね。

「寝る子は育つ」は科学的に証明された?

「記憶」にもとても重要な睡眠ですが、「メンタル」や「気持ち」にも影響があるそうです。遅く寝たり、睡眠が短すぎたりすると、キレやすかったり、落ち込みやすかったり、ぼんやりしてしまったりということが起こります。

脳の中心部には、動物的な快不快を判断する大事な部分があり、「これは自分にとって楽しいことなのか?嫌なことなのか?」をジャッジしているそうです。嫌なことが続くと生きる意欲も失われていってしまうので、とても大事な部分。睡眠と運動、食事という動物として大切なものを司っていて、生死に関わるところです。

現代の生活だと、遅くまで起きているお子さんも多いと思いますし、大人もいろいろ忙しくて夜更かしになりがちです。

そうして寝る時間が遅くなると、意欲が下がったり、物覚えも悪くなったり……。脳の状態が健康的でないと、物事をネガティブに捉えがちになり、自己肯定感も低くなり、先述のように、周りの人に「助けて」と言うことがとても難しくなってしまいます。

「自分には人に助けて貰える価値がある」と思えず、自立からは遠ざかる一方。

つまり、「寝る子は育つ」という言葉通り、自立するためには、しっかりとした睡眠が必要なんですね。昔からよく聞くことわざですが、これが科学的にも証明されたということ。

つい、夜遅くまでスマホを見たり、動画配信を見たりと誘惑が多い現代ですが、親御さんもお子さんも、脳をしっかり休ませてあげて下さいね。

 

話し手/井坂敦子 構成/清野 直

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▼井坂敦子 プロフィール

慶應義塾大学→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営  英国留学中高校生女子とボーダーコリー3頭の母

中学校高等学校教諭一種免許状(国語) 保育士 食育カウンセラー 表千家師範

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学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

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