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テレビとネット、利用のしかたはどうちがう?/データで読み解く、子どもとスマホ【第40回】

テレビとネット、利用のしかたはどうちがう?/データで読み解く、子どもとスマホ【第40回】

日本の子どもがネットメディアやテレビなどの情報通信メディアとどうつきあっているのか、読み解いていきます。

日本の10代はメディアとどうつきあっているのか

今回から、総務省の「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(※1)をもとに、子どもたちがICTを含む各種のメディアをどのように利用しているのかみていきます。

この調査は、13歳から69歳までの男女1,500人を対象にして、SNSやインターネットなどのネットメディアおよびテレビなどの情報通信メディアについて、利用時間・時間帯、利用率、信頼度などを継続的に調査しているものです。

なお、この調査では13歳から19歳を10代としてまとめており、10代のデータにはネットで大人と同等の扱いとなる18歳以上の調査データも含まれています。

日本の10代、利用時間はテレビ<ネット

まず、テレビとネットの利用時間を比べてみましょう。

平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 (2017年7月 総務省 情報通信政策研究所)より

図で赤く示されているのがテレビの利用動向、青く示されているのがネットの利用動向です。

10代がテレビをリアルタイムで視聴する時間は減少傾向にあります。

平日1日あたりの平均利用時間は平成24年の102.9分から平成28年では89.0分と、5年で約14分減っています。行為者率(この場合はテレビをリアルタイムで見た人の率)は69.3%で、こちらも減少傾向。10代のテレビ離れが進んでいることがわかります。

対照的に、ネットの平均利用時間は増加傾向で、平成24年の108.9分から平成28年では130.2分に増えています。5年前はテレビのリアルタイム視聴時間とネットの利用時間にさほど差がありませんでしたが、いまはネットの利用時間の方が41.2分も長くなっています。

行為者率(この場合はネットを利用した人の率)は78.9%で、テレビのリアルタイム視聴をネット利用が9.6ポイント上回っています。

10代は、利用時間でも利用者の割合でも、テレビよりネットが多いことがわかりますね。

なお、20代のテレビのリアルタイム視聴時間は平均112.8分ネットの利用時間は平均155.9分とネットの方が長く、10代と似た傾向となっています。

保護者世代である30代・40代はどうでしょうか。30代のテレビのリアルタイム視聴時間は平均147.5分ネットの利用時間は平均115.3分40代はテレビ160.5分/font>、ネット97.7分。テレビの視聴時間の方が長く、30代がネット世代とテレビ世代の境目となっていることがわかります。

ゴールデンタイムにはテレビよりネット

ネットとテレビの利用時間帯についてみてみましょう。

平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 (2017年7月 総務省 情報通信政策研究所)より作成

図で、面グラフ(背景色)で示されているのが平成28年の全年代、折れ線グラフで示されているのが10代の利用時間帯別行為者率です。面グラフ(全世代)と折れ線グラフ(10代)の差が大きいところが、10代の利用の特徴となります。

10代のテレビの利用動向をみてみると、朝と夜に利用のピークがあり、8時から15時ごろまでは通学者が多い影響か、ほとんど利用がありません。

また、19時台から22時台までのいわゆるゴールデンタイムでは、リアルタイムにテレビをみている割合が全世代よりもぐっと少なくなっています。

さらに、全世代では19時から利用率があがり21時台にピークになるのに対して、10代では19時台に30%弱でピークとなり以降は下がっていきます。

ネットの利用はどうでしょうか。

平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 (2017年7月 総務省 情報通信政策研究所)より作成

10代のネットの利用動向をみてみると、16時台から24時台にかけての利用が全世代より高くなっています。ゴールデンタイムでは19時台・20時台はほぼテレビと同率ですが、21時台・22時台では利用が高まり、テレビより10ポイント以上高くなっています。

10代にとって、もはやゴールデンタイム、とくに遅めの時間帯は、テレビを見る時間ではなく、ネットをする時間になってきているようです。

次回も、10代のメディア利用動向についてみていきます。

※1
総務省 情報通信政策研究所「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000064.html

 
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渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。

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