これは株式会社カネカと協力して作成した「SDGsのひみつ14 海の豊かさを守ろう」をもとにしてつくった自由研究のテーマです。
海がかかえている問題:5種に1種が絶滅の危機!
乱獲や気候変動の影響によって海洋環境が変化し、多くの生き物が絶滅の危機に瀕している、調査された4万1526種の魚やサンゴなどの海に関連する生き物の内、絶滅危惧種に登録されたのは7559種で、約5種に1種が絶滅の危機に瀕している。
出展:IUCNレッドリスト「Numbers of threatened species by major of organisms(1996-2024)」
①原因について調べてみよう
多くの海の生き物が絶滅の危機にある原因について「SDGs14のひみつ(P2-7)」を読んで考えてみよう。ほかにも図書館でSDGs14のことがわかる本を探したり、環境省などの公的機関のウェブサイトを調べたりしよう。
原因① 魚のとりすぎ

現在、世界の魚などの水産資源のうち、資源量によゆうがあるのは12%、38%の海洋資源がとりすぎているというデータがあるんだ。資源を守るためにはこの38%の割合を減らさないといけないよ。
原因② 海の富栄養化と海洋酸性化

地球温暖化や海の汚染の影響によって富栄養化と海洋酸性化が起きているよ。富栄養化とは、洗剤や農薬などが流出して、海の中の栄養(窒素やリン)が過剰になること。プランクトンの増加によって、魚が減少してしまうんだ。海洋酸性化は、大気中の二酸化炭素が大量に海に溶けこむことで、もともとアルカリ性の海水が酸性に近づくこと。プランクトンが減少して、魚の減少につながるんだ。
原因③ 海洋プラスチックごみ問題
世界の海に年間800万トンのプラスチックごみが流れ込んでいるといわれていて、海の汚染が心配されているよ。特に海の汚染については、SDGs14「海の豊かさを守ろう」でも、海のごみの中でも最も割合の多いプラスチックごみを特に取り上げるなど、大きな問題になっているんだ。じつは世界の海だけでなく、日本の近くの海でも海洋プラスチックごみ問題は起きていて、調査が進められているんだ。
800万トンのごみは、東京スカイツリー約222基分と同じ重さだよ。
日本近海の漂着プラスチックごみの個数と重量
| 個数(個) | 重量(Kg) |
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回収量 | 118,762 | 7,801 |
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プラスチック | 110,532 | 5,199 |
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プラスチックの割合 | 93% | 67% |
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日本近海の漂着プラスチックごみの内容と割合 上位7種
順位 | 品目 | 個個 | 割合 |
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1 | カキ養殖用の漁具(まめ管) | 19,639 | 18.2% |
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2 | ボトルのキャップ・ふた | 15,858 | 14.7% |
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3 | 漁網(漁具) | 13,654 | 12.6% |
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4 | 飲料用(ペットボトル)1ℓ未満 | 9,311 | 8.6% |
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5 | カキ養殖用の漁具(パイプ) | 8,201 | 7.6% |
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6 | プラ製ロープ・ひも(漁具) | 7,155 | 6.6% |
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7 | 食品の容器包装 | 3,207 | 3.0% |
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海の中のごみの話なので、だれかが海にポイ捨てしたごみのことかと思うかもしれないけれど、「7~8割が陸で発生したごみ」という調査結果もあって、みんなの生活とも強い関係があるんだよ。
プラスチックごみの問題点:ほかのごみとなにがちがうの?
ごみと一口に言っても、いろいろな種類のごみがあるよね。ではどうしてほかのごみでなく、プラスチックごみが問題になっているんだろう。プラスチックごみについてもっと調べてみよう。
②プラスチックがどんなものに使われているのか調べてみよう
どんなものにプラスチックが使われているのか調べて探してみよう。自分の身の回りにあるものなど、実際のプラスチック製品のさわった感じや見た目、かたさ、重さなどの特徴から、なぜプラスチックごみが問題になっているのか考えてみよう。
プラスチックごみの問題
プラスチック製品は生活に必要なものに大量に使われている(1965年ー2015年で83億トン)。商品などの包装やビニール袋など、とくに使い捨ての目的で使われることが多い。またプラスチックは軽いので、ごみが飛ばされて海に流出することもある。また原料が石油のプラスチックは、自然に分解することなく海の中に漂流してしまう。北極や南極でもプラスチックごみが見つかったという話もあり、プラスチックごみは海の流れで地球のあらゆるところに流れてしまっていて、分解しないまま溜まってしまうんだ。
海の生き物がエサとまちがえてプラスチックごみを食べてしまったり、プラスチックごみが海の生き物にからまって死んでしまうことがあるんだ。さらに、海の中で細かくなったマイクロプラスチックは、有害な物質を吸着する性質があって、マイクロプラスチックを食べた魚を食べる人間への影響も心配されているよ。
身近なプラスチック製品の種類

みんなのまわりで使われているプラスチック製品はどんなものがあったかな?実はプラスチックには色々な種類があって、それぞれいろんな特徴があるんだ。身の回りにあるプラスチック製品には、どんなプラスチックが使われているのか表を見ながら調べてみよう。また、表に載っているもの以外でプラスチック製品がないか、それはどんな特徴をいかしてつくられているか、調べて考えてみよう。
問題解決のためにできること:3R+Renewableについて
「海洋プラスチックごみ問題」を解決するために、世界では「3R」を基本の考え方として、「ごみ削減」に取り組んでいるよ。日本では、2019年5月31日に「プラスチック資源循環戦略」で3R+Renewableを「プラスチック削減」の基本原則として提言しているんだ。
③海洋プラスチックごみ問題の解決策について考えよう
「海洋プラスチックごみ問題」と「プラスチック製品」について調べたあとは、SDGs目標14を達成するためにできることを考えていこう。
3Rってなに?

1つ目の「R」は、「Reduce」で使用するもの自体の量を減らしてごみの量を減らすこと。
2つ目の「R」は、「Reuse」でものを大切にしてくり返し使ったりすること。
3つ目の「R」は、「Recycle」でいらなくなったものを資源として再利用すること。
もう1つの「R」、「Renewable」とは?
3Rだけでは対処できない問題(海洋プラスチックごみ問題など)を解決するための新しい考え方が「リニューアブル(Renewable)」と「生分解」なんだ。リニューアブルとは、これまでのプラスチックを再生可能な生物由来の資源に切り替えること。生分解は、微生物の力で自然にかえる素材に切り替えることなんだ。
④地球環境に配慮した新しい素材「バイオプラスチック」について調べよう
「バイオプラスチック」とは、「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」をまとめた呼び方。動植物から生まれた再生可能な有機性資源(石油などの化石資源をのぞく)を「バイオマス」という。原材料にこの「バイオマス」を使ったプラスチックが「バイオマスプラスチック」というんだ。もうひとつは、微生物の働きによって最終的に水と二酸化炭素に分解する性質で「生分解性」というよ。この生分解する性質を持ったプラスチックが「生分解性プラスチック」というんだ。
バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの大きな違いは、バイオマスプラスチックが製品をつくるときの入り口である「原料」でバイオマスが使われるのに対して、生分解性プラスチックは、出口である「使用後」にバイオの力が働くこと。それぞれは必ずしも一致しないけど、原料にバイオマスを使い、生分解性の特徴を持った「生分解性バイオマスプラスチック」というものもあるんだ。
日本バイオプラスチック協会では、バイオプラスチックの製品それぞれに認定マークを定めている。
新しい素材「Green Planet」で「海洋プラスチックごみ問題」を解決!?

カネカ生分解性バイオポリマー「Green Planet」は、植物油などのバイオマス原料でつくられ、最後には土や海水中で生分解される特徴がある。「Green Planet」は、原料がバイオマスで生分解性がある「生分解性バイオマスプラスチック」だよ。生分解されて自然にかえるので、「海洋プラスチックごみ問題」の解決につながるプラスチックに変わる新しい素材として注目されているんだ。これまでのプラスチックと比べてどんな違いがあるのか「SDGsのひみつ14 海の豊かさを守ろう」を読んで表などにまとめよう。
まとめ方
海洋プラスチックごみ問題と、課題解決のための取り組みについて、調べたことをまとめよう。
・「海洋プラスチックごみ問題」の原因と問題点
・身の回りのプラスチック製品やごみの種類
・問題解決のために取り組まれている事例
の項目で調べたことと、最後に問題解決のために自分で実際にどんなことができるのかを考えたことをいっしょにまとめよう。
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発展
「Green Planet」など、地球環境に配慮した生分解性バイオマスプラスチックをもっと多くの人に知ってもらい、海洋プラスチックごみ問題を解決するためにどんな使い方ができるのかアイデアを考えてみよう。