夏のひと息タイムには冷たいものがおいしいですね。あの上品ななめらかさがたまらないというアイスクリーム派、シャリシャリという歯ざわりがよいというシャーベット派、いろいろな人がいるけれど、きみはどちらかな?ところで、アイスクリームもシャーベットも同じ冷凍室で作ったり、保存したりするというのに、なめらかさの違いがあるのはどうしてでしょう?ここでは実際にアイスクリームを作りながら、究極のおいしいアイスクリームに必要な条件を探ってみましょう。
実験 方法
準備 するもの
・卵(卵黄)
・さとう
・牛乳
・生クリーム
・ボール
・鍋
・はかり
・あわ立て器
・計量カップ(200ml)
・透明プラスチックコップ(プリン、ゼリーなどの容器、ガラスコップでも可)
実験 のやり方
実験の前に、アイスクリームの基本の作り方を頭に入れておくと、実験が進めやすいですね。
基本 のアイスクリームの作 り方
(1)ボールに卵黄2個分とさとう50gを入れ、あわ立て器でよく混ぜる。しだいにクリーム色になっていき、さらにあわ立て器を上にもち上げたときに、ゆっくりタラタラとたれるようになるまでかき混ぜます。
(2)鍋であたためた牛乳200ml(㎤)を(1)に少しずつ加え、もう一度鍋にもどして弱火でとろみがつくまでよくかき混ぜます。(牛乳などはこれ以後mlで表します)
(3)(2)をさましている間に、別のボールで生クリーム100mlを8分立てにあわ立てます。(8分立てとは、あと2、3回かき混ぜると、ちょうどケーキにぬるかたさになるという状態にあわ立てるということ)
(4)(3)の生クリームと(2)をかき混ぜ、容器に入れて冷凍室で固めます。
※生クリームは1パックが200mlで市販されています。
※200mlとは計量カップで1カップのことです。
※生クリームは、水が一滴でも入りこむとあわ立ちません。ボールやあわ立て器の水分をよくふきとってからあわ立てましょう。
【実験 1】生 クリームを加 えるとき、あわ立 てたものと、そのままのものを使 う場合 では、どちらがおいしいアイスクリームになるでしょう?
【実験 2】アイスクリーム原料 を冷 やしていく途中 で、何度 かかき混 ぜて空気 を入 れたものとそうでないものを用意 し、アイスクリームの口 あたりの違 いを比 べてみます。
【実験1】と【実験2】は同時に進めていきましょう。材料は、基本のアイスクリームの2倍の量を用意します。
(1)ボールに卵黄4個分とさとう100gを入れてあわ立て器でよくかき混ぜます。(5分間くらい)
(2)鍋に牛乳400mlを入れ、あたためます。
(3)(2)の牛乳を(1)に少しずつ加えたら(かき混ぜながら)もう一度鍋にもどし、弱火にかけます。
(4)かき混ぜながら火にかけて、とろみがついてきたら火からおろします。(2・3分ほどでとろってしてきます)
(5)生クリーム200ml(1パック)を用意し、そのうちの100mlを計量カップでボールにうつし、8分立てにあわ立てます。
(6)残りの生クリーム100mlはそのまま。
(7)(4)でできたものを2分し、(5)と(6)のそれぞれに加えて軽くかき混ぜます。→【実験1】の材料をAとBとします。
★生クリームの入っているボールの中でかき混ぜればよいのです。
(8)AとBを、それぞれ透明プラスチックコップ3個に同じ量ずつ入れます。
(9)あわ立てた生クリームを加えたもの[A]を上の図のようにそれぞれ(1)(2)(3)とします。また、そのまま生クリームを加えたもの[B]も、それぞれ(1)(2)(3)とします。
★カップには“A-(1)”といった紙をはりつけましょう。また、それぞれのコップの口にラップをかけて冷凍しましょう。
(10)A、B2種類の(1)から(3)を冷凍庫に入れて実験を始めます。
(1)/スタートから2時間後、3時間後に冷凍室から出し、スプーンを使ってよくかき混ぜて空気を入れます。少量のときは1時間後、2時間後でよいでしょう。
(2)/スタートから3時間後によくかき混ぜます。
(3)/一度もかき混ぜずにそのままおきます。
実験 の注目 ポイント
★かき混ぜることによって、アイスクリームの材料に空気が混ざります。空気をたくさん入れたものと、そうでないものを比べてみます。
★2時間後、3時間後に冷凍室から出すとき、Aの(1)から(3)、Bの(1)から(3)全部を同時に出して、それぞれの表面のようすをルーペ(虫めがね)で観察してみましょう。また、少しだけスプーンですくって、途中の味もみてみましょう。
★4時間後にすべてをとり出して味見をしてみましょう。そのとき、家族の人たちにも味見してもらい、どれがおいしいか意見をきいてみるとよいでしょう。味覚は人によってちがいますから、いろいろな意見がでるかもしれませんね。それもおもしろいですよ。
ーーー【実験1】の結果、生クリームをあわ立てて、なお2回かき混ぜたという“A-(1)”が、軽くて口あたりがよいと感じませんでしたか?かき混ぜることによって、より空気が入ったのですね。また、ルーペで観察すると、表面がなめらかなのも“A-(1)”であることがわかると思います。
★材料の固まる時間は、冷凍室の具合やまわりの気温によってかなり違ってくるかもしれません。ですから2時間、3時間……というのは、一応の目やすとして実験しながら決めてください。
●おいしさのポイントはオーバーラン!●
アイスクリームの原料をかき混ぜることによって、原料の中に空気が入ります。空気が入ると、原料の体積はもとの体積より大きくなります。この入った空気の量を“オーバーラン”といいます。
たとえば、、100mlの原料に100mlの空気を細かい気泡として混ぜると、200mlのアイスクリームができます。このときがオーバーラン100%といいます。
市販されているものでは、ふつうのアイスクリームはオーバーラン60~100%です。また、ソフトクリームでは30~80%くらい、シャーベットでは20~60%くらいです。
ーーーところで、アイスクリームの大部分は生クリームと牛乳など、乳製品ですね。それでは生クリームを加えなければどうなるのでしょうか?
【実験 3】生 クリームを加 えないアイスクリームを作 って、前 のものと比 べてみます。
★手順は、【実験1】【実験2】の(1)から(4)まで同じです。
★材料は1/4でよいでしょう。
(1)~(4)卵黄1個分とさとう25gをよくかき混ぜ、あたためた牛乳100mlを加えて鍋にもどし、とろみがつくまでかき混ぜながらさまします。→Cとします。
(5)Cを冷凍室に入れます。
(6)4時間後、【実験1】【実験2】で残しておいたアイスクリームと味を比べます。
★【実験1】【実験2】の結果から、かき混ぜる回数が多いほど、おいしいアイスクリームができたので、Cは。2時間後、3時間後に冷凍室から出して、かき混ぜます。
ーーー結果はどうでしたか?生クリームを加えなかったものはシャーベット状になりませんでしたか?アイスクリームはやっぱり、生クリームが必要ですね。また、色にも注目してみましょう。
※【実験3】は【実験1】【実験2】と同時にやってもかまいません。
自由 研究 ワークシート
「自由研究ワークシート」をダウンロードして「レポートの書き方」を参考に実験をまとめてみましょう。また、もっと発展した研究をやってみたい人は「発展研究」もしてみましょう!
「自由研究ワークシート」がダウンロードできます。
まとめ方
「まとめ方のコツ 実験の例」を見てみよう
注意
実験 の前 と後 は、調理 器具 や容器 などをきれいにあらうこと。実験 をするときは、必 ずおうちの人 に実験 することを伝 えておこう。実験 に使 う材料 や道具 などは、使 ってよいものかどうか、おうちの人 に確 かめよう。実験 に使 った食 べ物 などは、絶対 に口 に入 れないこと。- むずかしい
実験 をするときは、おうちの人 に手伝 ってもらおう。 実験 が終 わったらきちんとあとかたづけをし、実験 に使 ったものを、家族 が口 に入 れたりしないように気 をつけよう。実験 で使 ったものや作 った作品 は、小 さい子 の手 のとどかない場所 にしまうこと。実験 をしたあとは、必 ず手 をよくあらうこと。