1.みんなが通 っている学校 について考 えてみよう
まずはクイズにチャレンジ!
税金って言葉を聞いたことがあるかな? 税金はわたしたちみんなで出し合っているお金で、集められた税金はわたしたちの暮らしや社会を支えるために使われているんだ。そして税金の使いみちのひとつに、みんなにとって身近な場所があるんだ。そう、『学校』だね。そこでまずはクイズにチャレンジ! 学校に関係するものが次々と流れてくるから、それに「税金」が使われているのか答えてみよう。制限時間内にいくつ正解できるかな?
クイズのやり方
①下のクイズ画面にあるスタートボタンを押そう。
②「税金が使われている!」「税金が使われていない!」正解だと思う方のボタンを押そう。
③制限時間は1分間。時間が過ぎると画面が切り替わるよ。もう一度チャレンジしたい人は「再スタート」ボタンを押そう。
④「リーダーボード」を選択して名前を入力すると、きみのスコアが残せるよ。ランキング1位を目指してみよう。
※25点以上のスコアを出せた人はすごいよ! まずは25点を目指してみよう。
※リーダーボードに入力した名前は、だれもが自由に見ることができるからニックネームなど個人が特定できないものにしよう。
※給食にかかるお金は、住んでいる自治体によってはすべて無償化にしているところもある。それ以外の自治体では、みんなから集められた給食費と、税金による補助で成り立っているよ。みんなから集められる給食費は、材料費。税金が補助しているのは、調理師さんの給料や調理するために必要なものなど材料費以外のものなんだ。
税金 ってなに?
税金とは、みんなが互いに支え合い、共によりよい社会を作っていくために、みんなで出し合うお金のこと。学校で学ぶための教育費以外にも、たとえば、水道や道路など生活に必要なものを整備するための費用、ケガや病気をしたときに病院で治療してもらうための医療費の一部など、みんなが必要なものに使われているんだ。いわば「社会の会費」とも言えるね。
税金は、どこに納めるか、何に対してかかる税金か、誰が納めるかなどで、たくさんの種類があるよ。
たとえば「所得税」。所得税は、会社から支払われる給料や、自分で商売をして稼いだお金などにかかる税金のこと。会社員の場合はあらかじめ給料から差し引かれる形で支払うんだ。個人にかかる税金だけでなく「法人税」という会社が納める税金もあるよ。これは会社(法人)の事業活動で得た所得にかかる税金のこと。
このように、税金の多くは大人や会社が納めているけど、じつはきみたちも払っている税金があるよね。それは、洋服や日用品など、何かを買ったときに支払う「消費税」。レシートにも書かれてあるから見てみよう。
これらの税金が、わたしたちが暮らす社会を支えているんだ。
学校 に使 われている税金 について見 てみよう
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わたしたちが学校に通い、配布された教科書で授業を教室で受けられるのも税金が支えてくれているからなんだ。公立小学校では、児童1人当たり年間約97万5000円の税金が使われている。公立中学校では、生徒1人当たり年間約112万2000円。義務教育ではないけど、全日制の高校では、生徒1人当たり約106万3000円の税金が使われているんだ。
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左上のグラフは、みんなから国に集められた税金がどこにどれくらい使われているのかを表したグラフだよ。みんなが通っている学校などには「文教及び科学振興費」の費目から税金が使われていて、その金額は年間5兆4158億円(令和5年度当初予算)。
次に右上の「文教及び科学振興費」の内訳グラフを見てみよう。
「科学技術振興費」以外の費目をあわせた74.3%が、小中学校、高校、大学などの教育費で4兆円超。さらに細かく義務教育の小中学校だけを見ると、公立小中学校で働いている教員の給与などの3分の1を国が負担する「義務教育費国庫負担金」に1兆5216億円、教科書の配布や国公立大学法人・私立学校への援助のための「教育振興助成費」に2兆3054億円が使われているんだ。
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教育に使われている税金は国税のほかに、みんなが住んでいる都道府県や市町村の地方税も使われている。
上のグラフは東京都の例で、教育費は8965億円。これは全体予算の11.1%もあるよ。さらにその中身を見てみると、半分以上がわたしたちが通っている小学校や中学校に使われていて、それ以外は高校や特別支援学校などに活用されているんだ。ほかにも校舎の改築や備品購入などのためにも税金が使われているよ。
参考サイト:
「税の学習コーナー(国税庁)」
なぜ、学校 教育 に税金 が使 われているのか考 えてみよう
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日本では、小中学校の9年間が義務教育となっているよね。これは日本国憲法が定めた国民の三大義務(権利)のひとつ「教育」として定められているんだ。公立学校の授業料は徴収しないとも定められている。そして義務教育を終えると、高校、大学などに進学をしていく人が多い。上のグラフは、義務教育後の学校の種類別の進学率の推移グラフ。いまは男女ともに約96%の人が高校に進学し、半数以上の人が大学に行っていることがわかるね。
参考サイト:
2.日本 と世界 の学校 教育 について比 べてみよう
日本では小中学校の9年間の義務教育があり、憲法でも教育を受ける権利が守られていて、だれもが学校に通えるように税金が使われている。ほかの国ではいったいどうだろうか、とくに開発途上国ではどうなっているのだろうか。いろいろな国の教育や学校、教育に対する税金の使われ方について調べてみよう。
日本 と開発 途上国 の教育 状況 について見 ていこう
1.みんなから集 められた税金 (一般 政府 総 支出 )のうち、教育 に使 われている税金 の割合 を見 てみよう
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まずは日本と開発途上国とで、教育のために使われている税金の割合に違いがあるのかを見ていこう。右のグラフは、例として日本と、アフリカのギニアとスーダンを比較したもの。GDP(国内総生産)に対して、どれくらい割合で教育に使われているのかを表しているよ。日本は3.4%で、ギニアとスーダンは約2.2%と比較すると約1.55倍で、しっかりと税金が教育のために使われていることがわかる。
開発途上国では、学生一人に対する政府の支出額自体も日本などの先進国よりも低くなっている。アフリカ諸国では教育予算の多くが教員の給与をはじめとした経常支出にあてられる傾向があるため。その結果、アフリカ諸国における学生一人当たりに使われる教育のための税金は、小学校では533ドルとなり、日本の約12分の1でしかありません(日本=約6742ドル/2023年6月29日時点のドル円レートで換算)。中学校では925ドルとなり、日本と比較すると約8分の1にすぎない(日本=約7758ドル/2023年6月29日時点のドル円レートで換算)。
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左のグラフは、OECD(ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め38ヶ国の先進国が加盟する国際機関)諸国において、小学校・中学校教育における教育費に対してどのくらいの割合を税金がまかなっているのかを表している。9割近くを税金で負担しており、イギリスやドイツなどよりも高い。日本は教育に対して他の先進国同様に、多くの税金を使っていることがわかる。
2.識字 率 を見 てみよう
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現在、日本では識字率の調査がおこなわれていないので正式なデータはないけれども、義務教育が行き届いているため100%に近い識字率であるとされている。世界の平均を見ると、若者の識字率は男性が91%、女性が93%です。識字率が低い国を見ると、教育に関する税金の支出額が低いことが要因のひとつとなって低い識字率の結果にもつながっている。
3.大学 進学 率 について見 てみよう
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大学進学率は世界の平均を見ると約40%なので、日本をはじめとした先進諸国は平均よりも高い大学進学率になっている。反対に開発途上国を見ると、数%台と非常に低い数字。識字率と同じように日本と比較すると、教育に関する税金の支出額が少ない開発途上国が並ぶ結果となっている。
世界 の学校 の学校 生活 や教育 制度 を調 べてみよう
外務省のサイト「世界の学校を見てみよう!」で、世界各国の学校で、子どもたちがどんな学校生活を送っているのかを調べてみよう。
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自分が好きな国のほか、識字率の高い国や低い国、教育のために税金が多く使われている国とそうでない国と、それぞれ違いのある国を選んで図のように調べたものをまとめていこう。
調べる項目は、
・義務教育はいつからいつまで?
・新学期は何月から?
・給食はある?
・始業時間は何時から?
など、自分で興味を持ったことについてインターネットや本、参考サイトを見たりして調べてみよう。
※ダウンロードした『各国の教育の現状に関するデータ』の数字もあわせてまとめておくと、まとめ作品をつくるときに役立つよ。
参考サイト:
3.まとめ方
これまでに調べたことや、作成したシートなどを用いて自由研究をまとめよう。
税金 とその使 いみちについて学 んだことを書 こう
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「税金」や税金の使いみちである教育について調べたことや学んだことをまとめよう。「税金の役割」欄には、税金とはどんなものなのか、どんな種類があるのか、教育以外にどんなことに使われているのかについて書いてみよう。「学校に使われている税金の役割」欄には、どのくらいの税金が公立小学校・中学校に使われているのか、どのようなものに使われているのか、児童生徒1人当たり年間でどのくらいの税金が使われているのかをまとめていこう。なぜ学校に税金が使われているのか理由も考えながら書くようにしよう。
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日本と世界の学校教育や税金の使われ方について調査作成したシートを貼ろう。「日本と世界学校教育の比較」欄には、日本が諸外国と比べて、どのくらい税金が使われているのか、そして教育レベルを図るうえでの識字率、大学進学率はどうなっているのか、関係性を考えながら結果をまとめていこう。また授業の内容や給食、義務教育の年数など、学校生活の違いについてわかったことを書こう。
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調査を通して『わかったこと』『きづいたこと』『もっと調べたいこと』などを最後にまとめよう。
発展
①SDGsについても考 え、世界 が抱 える教育 に関 する課題 発見 と解決策 を考 えてみよう
教育はみんなが学校でも学習している「持続可能な開発目標 SDGs」の中にもあるよね。
そう、SDGsの目標番号4「質の高い教育をみんなに」。これは、すべての人が公平に質の高い教育が受けられる世の中を目指している。
世界における教育課題を発見・調査をして、じぶんなりの課題解決のアイデアをまとめてみよう。
世界の教育課題を調べるヒント:
1)学校に行けない子どもたちはいないかな?
2)学校に行けないとどうなってしまうかな?
課題解決を考えるためのヒント:
1)じぶんたちにできることはないかな? たとえば、募金活動や参加企業が提供する定食や食品を買うことで開発途上国へ学校給食を1食分おくることができる「Table for Two」プログラムに参加したり調べたりしてみよう。
2)教育に使われる税金、どんなことに使った方がよいかな? もし税金が有効に使われていないものがあれば、それをどんなことに使えばもっとよくなるかなという風に考えてみてもいいね。
3)とっても大切な教育には、もっと多くの税金が使えたらいいよね。みんなから集められた税金は、教育以外にもわたしたちの生活にとって必要なものに使われているからほかのものを減らして教育にだけ税金を使うのはなかなか難しい。
どうしたらいいか、よい方法はないか考えてみてもいいね。
参考サイト:
②高度 なグラフ作成 にチャレンジしてみよう
自由研究のまとめ用に調査作成したいろいろなシートを使って、見る人がわかりやすいグラフを作成してみよう。
また二つのデータをひとつにまとめた『2軸の散布図』グラフを作成すれば、二つの関連性から見えてくるより深い分析もできるよ。
例えば、公財政教育支出の割合データと識字率データを『2軸の散布図』にまとめると、識字率の高い国と低い国とでは公財政教育支出の割合がどうなっているのかをひとめでわかるようになるね。
調 べ学習 をするときの注意
- 調査などに出かけるときは、自動車や歩行者などに注意し、きけんな場所には近づかないようにしよう。
- 遠くに出かけるときは、大人といっしょに行こう。
- 博物館や図書館などでは、さわいだり走ったりしないこと。また、展示されているものにむやみにさわらないこと。
- 店などの調査をするときは、必ず行く前に許可をとり、お客さんなどのめいわくにならないようにしよう。
- 会社などに電話をするときは、まず名前を伝えてから用件をはっきり話そう。相手のめいわくにならないように、電話で話している時間があるかどうか確かめること。
- 工場見学をするときは、ルールを守り、写真さつえいなどをしてもよいか、確かめよう。
- 人に話を聞きに行くときは、行く前に都合のよい日時を聞き、時間におくれないようにしよう。終わったら、必ずお礼を言おう。
- このほか、それぞれの自由研究のページにある注意もよく読んでから、研究を始めよう。
企画協力=a.school